みなさんこんにちは。
宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。
OKIからまたまたAI関連のリリースが届きました!
宇宙の話題と同様にAIの話題も日々アップデートされていますよね♪
日常生活で活用できる生成AIや特定の分野で大活躍しているAIなど様々ですが、宇宙産業向けのAIもどんどん進化していくことでしょう。
リリース
(提供:沖電気工業株式会社)
OKIは、ディープラーニングによって海中音を学習させ、船舶の種類を自動で分類することができる「船舶分類AIシステム技術」を開発しました。これにより、船舶の出入りが多い港湾やカメラでは捉えにくい夜間などで海中音から常時自動で船舶分類を取得することが可能になります。また、社内で実施した検証実験において、船舶音データから抽出された少量の学習データであっても90%以上の高精度で分類することができました。
海中では、電波は減衰が大きく、光波は散乱が大きいことから、数kmから数千km先まで伝搬可能な音波を活用した分類方法が用いられています。また海中では、音を発する生物・船舶によらず、海中の音源は種類に固有の特徴があり、音を使ってその種類を特定することができます。その方法として多く用いられているのが、水中マイクで受波した海中音を人が聞き、その音の特徴である周波数を可視化したものを人の目で判断・分類する手法です。しかし、この方法では、人の熟練度により分類判断に差異が生じることがありました。
OKIでは、長年水中音響製品の研究に取り組み、水中マイクで受波した音が、どのような特徴を持っているかを確認するシステムの開発など行ってきました。今回開発した「船舶分類AIシステム技術」は、AI技術として使用されるディープラーニングを用いて、海中音から自動的に船舶を分類するシステム技術です。本システム技術は、海中に設置した水中マイクで記録した音からディープラーニングモデルを作成し、周波数特徴から自動的に船舶を分類します。これにより水中音を確認する人の熟練度に依存せず、船舶を分類することができます。また、従来よりも人の労力を減らせることもできるため、近年需要が高まっている省人化にも対応することが可能です。
実際にOKIが保有する船舶音データを利用し、検証を実施しました。今回は、約4時間の船舶音データで調整したディープラーニングモデルを使用したところ、90%以上の高精度で分類をすることができました。しかし、ディープラーニングモデルを用いて音の種類を正確に識別するには、通常大量の学習データが必要となります。公開された海中音のデータは限定的であり、特にさまざまな船舶音情報を事前に用意するには時間やコストがかかる課題がありました。そこで、少量の学習データであっても分類ができる工夫を実施しました。実際の船舶音データに対してデータのバリエーションを人為的に作成する「データ拡張」と、一部のデータのみの船舶音情報で学習させる「半教師あり学習」で課題を解決させました。その結果、少量の学習データであっても90%以上の正解率を実現することができました。
今後は、共創パートナーを募り、本技術の商品化に向けたフィールドデータの取得を行い、実践的な検証を行っていきます。
【リリース関連リンク】
OKIテクニカルレビュー243号「ディープラーニングを利用した水中音による船舶分類」
https://www.oki.com/jp/otr/2024/n243/html/otr243_r08.html
あとがき
本プレスリリースで紹介されたOKIの「船舶分類AIシステム技術」は、最新のディープラーニング技術を活用し、海中音から船舶の種類を自動で分類する革新的なシステムです。
これまで専門の技術者が膨大な時間をかけて行っていた作業を大幅に効率化できる点が特長で、特に省人化や夜間のモニタリングといった課題の解決が期待されています。
興味深い点は、限られたデータ量でも高い精度を実現するための工夫です。
データ拡張や半教師あり学習という最新手法を導入することで、学習データが少なくても90%以上の正確さを達成しました。
この技術は、海洋資源の管理や安全な航行に役立つだけでなく、将来的にはさまざまな応用が考えられます。
技術の実用化に向けて、今後さらにフィールドデータを収集し、実践的な検証を進めるとのこと。
海洋での持続可能な活動を支えるこの挑戦が、多くのパートナーとの共創を通じてどのように広がっていくのか、大いに注目したいところです。