中空パッケージデバイスの異物解析

OKIグループの信頼性評価と環境保全サービスを展開するOKIエンジニアリング(社長:柴田 康典、本社:東京都練馬区、以下OEG)は、民間ロケットや小型衛星用の電子部品の製造上の不具合を除去する「宇宙用電子部品の信頼性評価サービス」を提供開始します。民間ロケットや小型衛星分野への新規参入事業者へ向け、電子部品の信頼性確保を提供する受託評価として2月22日よりスタートし、年間売上1億円を目指します。

近年、宇宙ビジネスを目指す新規参入事業者により、民間ロケットや小型衛星の打ち上げが増加しています。従来の大型ロケットや大型衛星においては、失敗を防ぐため各種搭載電子部品・機器の信頼性試験やスクリーニング試験(注1)が厳しく実施されています。民間ロケットや小型衛星では高機能な民生用電子部品を活用する傾向がありますが、従来品とは異なる電子部品であるため、信頼性確保のためには品質確認が必要です。しかし、そのためには宇宙環境を模擬するための特殊な設備と評価技術力が必要となり、自社ですべての信頼性試験を実施するのは困難です。また、外部試験所でも必要な試験メニューを全て揃えている機関が少ない状況にあります。

OEGは「はやぶさプロジェクト」などで、宇宙用電子部品の非破壊検査であるスクリーニング試験11項目に加え、破壊検査である信頼性試験36項目や世界標準規定のMIL-STD-883/750(注2)、IVC試験(注3)、定加速度試験(注4)などを長年実施し携わってきました。宇宙では、極限の温度環境差が生じるため、人工衛星などに搭載されている半導体の集積回路のチップやワイヤの樹脂封止では、樹脂による熱膨張が生じ、クラックやワイヤの剥がれが生じてしまう恐れがあります。また、半導体の集積回路に宇宙線(注5)が飛び込んだだけで動作エラーとなる現象も生じます。これらの急激な宇宙環境の温度差による熱膨張と宇宙線を防御するため、宇宙機器に搭載される半導体の集積回路は、金属による封止の中空パッケージ(注6)になっています。OEGでは、この宇宙用電子部品に重要な中空パッケージの信頼性評価をするため、新たにPIND試験(注7)装置と窒素(N2)パージ高温試験装置(注8)を導入し、MIL-STD-883/750に規定される信頼性試験も含め、短時間でワンストップ評価が可能な「宇宙用電子部品の信頼性評価サービス」の実施体制を整えました。

このサービスを利用することにより、新規に宇宙ビジネスに参入しようとする事業者も効率的に試験を実施でき、信頼性確保が可能となります。OEGは今後も多様な電子部品、システムの高信頼性に対する要求に応えられるよう体制を強化してまいります。

用語解説
注1:スクリーニング試験
潜在的な欠陥または不良を抱えている部品を選別、除去するための試験。

注2:MIL-STD-883/750
アメリカ軍が必要とするさまざまな物資の調達に使われる規格で、MIL-STD-883は集積回路のための試験方法、MIL-STD-750は個別半導体デバイスの試験方法が記載されている。

注3:IVC試験:Internal Water-Vapor Content
セラミック・メタル・ガラスなどにより封止された中空パッケージ内封止ガス中の水分やガス成分の定性・定量を行う試験。

注4:定加速度試験
移動体、特に飛行体、回転体または発射体が動いている時に生じる重力以外の定常的な加速度環境から力を受けたときの部品、機器または他の製品への影響を調べる試験。

注5:宇宙線
宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のこと。

注6:中空パッケージ
パッケージ内部が空洞(中空構造)となっている電子部品(CCDセンサー、MEMSなど)の総称。

注7:PIND試験:Particle Impact Noise Detector
微粒子衝撃雑音検出試験のことで、ハイブリットIC等に衝撃と振動をかけて、部品内部の異物がパッケージ内部に衝突する際に発生する音を検出する試験のこと。

注8:窒素(N2)パージ高温試験装置
酸素を3%以下に保持した、窒素環境状態の恒温高温装置のこと。

リリース関連リンク
「宇宙・航空分野の信頼性試験評価」紹介サイト
https://www.oeg.co.jp/space.html

「デバイス/モジュールの信頼性評価」紹介サイト
https://www.oeg.co.jp/semicon/index.html

「PIND試験(微粒子衝撃雑音検出試験)」紹介サイト
https://www.oeg.co.jp/semicon/pind.html

「窒素(N2)パージ高温試験」紹介サイト
http://www.oeg.co.jp/semicon/reliability.html#purge

沖電気工業株式会社は通称をOKIとします。
沖エンジニアリング株式会社は、通称をOKIエンジニアリングとします。
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