みなさんおはようございます☀️

宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。

今回のインタビューは人工流れ星の会社としてご存知の方も多いALE社ですが、そこを改めて取材しても他メディアで十分事足りるくらいに知れ渡っていると思います。

いけだも宇宙ビジネスを学び始めた時から人工流れ星=ALE社として認識している会社です。

ただ、そのタイミングから【大気データ事業】というものがあり、代表の岡島氏の講演でも紹介があったのを覚えていますが、個人的にはこっちも気になる!

人工流れ星とは違う事業。

エンターテイメント色が強いSky Canvasではなく、科学的、技術的な強みが漂ってきている【大気データ事業】をメインに広報の山﨑氏、Chief Scientistの舩越氏のお二人にお話聞かせてもらいました。

技術的には難しい分野の話を分かりやすく教えてくれたので、この記事は必見ですよ!!

インタビュースタート!

(いけだ)

今日はよろしくお願いします!

まずはALE社について教えてください。

(山﨑さん)

はい!それでは広報担当である私から説明させていただきますね!

ALEは人工流れ星の『Sky Canvas』と『宇宙デブリ対策事業』、そして今回取り上げていただく『大気データ事業』の3つの事業を行なっている企業です。

(提供:ALE)

(いけだ)

ALE社といえば、人工流れ星の会社ってイメージで認知度は高いですよね!

いけだも勉強を始めたタイミングから御社の記事や代表の岡島さんの講演など拝見して、「楽しそうだな〜」と率直に思いましたもん!

(山﨑さん)

有難いことに、エンターテインメントとして多くの方に知ってもらえたと思います。

ただ、弊社は『科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする』をミッションに掲げていまして、大気データ事業も宇宙デブリ対策事業も大きな柱としています。

(いけだ)

人工流れ星も本当は物凄い科学技術が組み込まれているんですが、どうしてもエンターテインメントの部分のイメージが強くなりますもんね。

御社のミッションも知っていたのと、大気データを観測して気象予報の精度向上や気候変動メカニズムへの貢献ってどういうことだろう?って気になっていたんですよ!

(山﨑さん)

大気データ事業は私たちも知って欲しい分野なので、興味を持ってもらえるのは嬉しいです!

詳しくはChief Scientistの舩越が大気データ事業を担当しているので、説明させてもらいますね!

(舩越さん)

よろしくお願いします!

この大気データ事業では「産学連携プロジェクト」の民間気象衛星として進めています。

これまで観測が十分にできていなかった対流圏(高度10km〜16kmまでの大気の層)から中間圏(高度50km〜80kmまでの大気の層)のデータ取得に向けた研究を進めていて、それを気象予報の精度向上に役立てたり、中長期の気候変動メカニズムの解明に貢献することを目指しています。

(提供:ALE)

(いけだ)

この資料を見ると1980年からの20年間と2000年からの20年とで、約2倍に増えた気候変動災害の7割以上が風水害なんですね。

たしかに、ここ数年でも台風やゲリラ豪雨での被害のニュースが増えた印象はありますよね。

いけだは鹿児島出身で、毎年のように台風被害が発生しているので、防災系はテクノロジーの力で進化して欲しい項目の一つです。

(舩越さん)

日本は海に囲まれた島国であったり台風の通り道にもなっていたりとで、地形的な理由から世界中で最も自然災害の影響を受けやすい国の1つです。ですので防災/減災対策はとても重要で、その1つとして気象予報を基にした情報事前準備にとても役立つと考えています。

(提供:ALE)

この図を見てもらえると、気象予報は大きく5つのステップで形成されているのがわかると思います。

1.観測

 地上センサー、気球、飛行機、気象衛星などなど

 もろもろの手法での地球観測からスタートします。衛星は日本だと気象衛星ひまわりが有名ですね。

2.解析

 品質管理、解析

 観測データの整理や処理、また数値予報の結果の解析

 観測したデータを数値予報の計算に使えるよう処理や整理をします。

 また予測精度向上のために計算結果を解析して、再度計算を実行したりもします。

3.予測

 数値予報

 大気の動きを物理モデルで表現し、観測データによる現在の状況を利用しつつ、スーパーコンピューターで地球の未来を予測します。

ここまでは政府気象機関が主導で行なっているステップです。

少し乱暴な言い方をすると民間の気象事業者は、政府が出した数値予報をもとに気象予報を行なっていきます。もちろん、政府もここまでだけでなく最後の天気予報の配信ステップまで行います。政府が多くの人に有益な基準となる大まかな情報を配信するのに対し、気象事業者は利用者のニーズに合った形にカスタマイズした情報を配信しています。

4.応用

 格子点値、画像作成、統計処理

 数値予測の結果をもとに、統計処理をしたり最近であればAIを利用したり、と情報を調理します。

5.予報

 気象監視/分析、天気予報、警報など

 最後に人の目を通して情報をまとめ、いわゆる天気予報となります。

現状1観測で活躍する気象衛星は政府が運用する大型衛星で中心ですが、製造費は数百億円かかります。宇宙に運ぶ費用も重さに比例しますし、その他運用費も発生します。その上開発期間も長いです。

今まではそれでも良かったのですが、地球環境が変わりつつある昨今、激甚化する台風や新しい減少の線状降水帯に対応するには今までよりずっと短い間隔で観測してやる必要があります。

それには衛星台数を増やすのが一番素直な対応ですが、大型衛星だと政府予算的に厳しく実際アメリカでは問題になったりしています。

そこで、我々は低コスト小型衛星で参入して、政府が行なっていた領域で徐々に民間活用の動きを高めて行こうと事業を進めています。

(いけだ)

普段何気なく見ている天気予報もこんなにも複雑なことを経て届けられているんですね。

天気図ってニュースで見ますけど、それを作るためにスーパーコンピューターの計算が必要だなんて考えたこともなかったです。

天気予報って凄い技術が詰まっているんだと改めて感じました!

それと、コスト的なことがかなりかかっているんだなと。

(舩越さん)

そうですね。

そこで、我々は国内初の民間気象衛星を開発することにしました。

(提供:ALE)

気象予報に有用な水蒸気・温度データを取得できるマイクロ波サウンダーというセンサーを開発し衛星搭載し、宇宙から昼夜・天候、地形を問わず大気を観測します。

また、小型衛星一台の性能は大型衛星に劣りますが、低コストの利点を活かして複数衛星を打ち上げての衛星コンステレーションで観測頻度を高め、大型には無い特徴を実現します。

(いけだ)

小型衛星で対応できるならコスト面での参入障壁が解決しそうですね。

でも、解析や予測のノウハウも必要になってきますよね?

(舩越さん)

そこで、AETHER(アイテール)というプロジェクトを発足しました。

これは、日本初の民間気象衛星の宇宙実証に向けた産学連携プロジェクトです。

(提供:ALE)

通信技術に強みを持つNTT社と、電波天文学による観測に強い国立天文台(NAOJ)、気象学の知見で気象予測ソフトウェアの開発を担う理化学研究所に参画頂き、全体の統括と人工衛星の運用などを弊社が行って、それぞれの強みを活かしたチームアップによりプロジェクトを進めていきます。

(いけだ)

おぉー!

参加している名前を聞くだけでもこのプロジェクトに期待しちゃいますね!

それぞれの専門分野ごとで強みを活かしてく上で、日本のトップクラスが集まった感じですね!

(舩越さん)

はい!

このプロジェクトを通して、民間気象予測の新分野を確立していきたいですね。

(提供:ALE)

昨年の9月にAETHERプロジェクトを発足したばかりなので、今は研究開発のフェーズです。

2023年頃には地上での技術実証を予定していて、2025年頃には宇宙空間での技術実証を目指しています。

(いけだ)

スケジュールとして書き出すと先の予定に見えますが、地上での技術実証がもう来年ですもんね!

さらにその2年後には宇宙での実証だからよくよく考えるとかなりスピード感のあるプロジェクトですよね!

 

(舩越さん)

そうなんです!結構時間がないんですよ!

2025年も後3年ですから、短期的な目標ですね。

(いけだ)

メディアとしての立ち位置からすると、定期的にイベントがありそうなので、ワクワクして楽しみではあるんですけどね!

(舩越さん)

スケジュールを公表しているからには気を引き締めて行かなければと思っています。

(提供:ALE)

AETHERプロジェクトとしての事業の活用については、

・気象機関への貢献

気象予報全般の精度改善と線状降水帯や豪雨、台風などの災害予報の精度改善を目指します。

・独自の気象予報サービス

独自の観測データをもとに気象予測を行うので、ユーザーのニーズにきめ細かく対応していきます。

・民間企業の気象活用支援

企業活動の様々な場面でのリスク回避や効率向上などの有益性につながる活用方法を創出します。

まだまだ活用例としてあげているだけですが、今後プロジェクトを進めていく上で、提案できることも具体的になっていきますのでこちらも楽しみにしていてください。

(いけだ)

もう既に楽しみにしちゃっていますけどね!笑

今まであまり大気データ事業について知らなかったので、詳しく説明していただき嬉しいです!

楽しみにしているからこそ、定期的に舩越さんに取材と称した進捗のお伺いしていくつもりなのでよろしくお願いしますね!笑笑

(舩越さん)

ちゃんと成果を出せるように頑張ります!!

(いけだ)

舩越さん、山﨑さんありがとうございました。

ALE社について、さらに大気データ事業についても詳しく聞けましたし、これからの予定もお聞きしたので、定期的に取材させてください!

ちょっと気になったんですが、お二人がALEに入ったきっかけってどんな感じだったんですか?

(山﨑さん)

では、私から話させていただきますが、あんまり面白くないかもしれませんよ。笑

転職活動で広報の職を探していたときに、ALEの求人を見つけて、「宇宙や人工衛星、科学」といったキーワードが目に止まり、今まで携わったことが無い分野だったので、チャレンジしようと思って応募しました。

そしたら面接の時にも、代表の岡島がちょうど社内にいて挨拶をしにきてくれたんです。

岡島は東京大学の大学院で天文学の博士号を取っているので勝手に固い人物のイメージを持っていたんですが、とても気さくでそこにも惹かれた理由ですね。

だから、人工衛星の勉強は入社してから始めて、分からない事も多かったので社内の先輩に聞いたりしてもみんな親身に教えてくれるので、入社した後も人の良さは実感しましたね。

会社としてやっている事の魅力と、その会社にいる人たちの魅力が入社のきっかけですかね。

(いけだ)

極端に言うと、元々宇宙に興味があったとか、宇宙関連の勉強をしていたって訳では無いんですか?

(山﨑さん)

そうです!

人並みに宇宙が好きだった部分はありますが、宇宙企業に携わりたいと思って転職活動をしていた訳では無いですね。

(いけだ)

ちょっと意外でしたが、これくらい気軽にチャレンジできるって事ですよね!

舩越さんはいかがですか?

(舩越さん)

私もあんまり面白いエピソードでは無いですよ。

元々は東京大学の大学院で物理学を専攻していて、そのまま科学者になりたかったのですが結局挫折して、半導体装置などを扱う理化学機器メーカーに就職して勤めていました。

仕事に満足しつつももう少し科学を活用したいともやもや思っていた時に、以前に転職活動をしていた時に登録しっぱなしになっていた求人サイトのエージェントからやたらと長文のメールが届いて、、、。

開いてみると「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」ミッションを掲げている会社の内容と、長文のメールの熱意を感じて面接を受けてみようと思いました。

だから私も「宇宙が大好き」と言うより科学をやっていきたいという思いでALEに入社しています。

(いけだ)

それはある意味、運命的な出会いですね!

求人サイトを退会していなかったから、エージェントからのメールを確認したから繋がった縁ですもんね!

舩越さんの求めていた「科学で仕事をする」というのが、ALEのミッションとマッチしまくっているので、これは必然だったんだろうなと感じましたよ!

お二人とも『宇宙』ってキーワード以外で宇宙企業として有名なALEに入ったようで、少し驚きではありましたが、その分、色んな人材が集まっている企業なんだろうなと言うことが垣間見えました。

最後に、今後のALEとしての注目ポイントがあれば言える範囲で教えてください!!

(山﨑さん)

そうですね。まだ具体的には言えないのですが、今後も話題を提供できるとは思っています!

大気データ事業としては、地上での実証が来年を目標にしていますが、それ以外のことで新しい挑戦をし、発表していきたい予定もありますので、ぜひとも注目して欲しいですね!

(いけだ)

おぉ〜!!

今後も大きなことが起きるんですね!

発表が待ち遠しいですが、年内は山﨑さんに定期的にお伺いして、来年は舩越さんにしつこく聞いていけばいいってことですね!笑

(山﨑さん)

そういうことになりますね!笑

リリースまでは言えない事がありますが、期待していてください!

大気データ事業も舩越が率いているので、間違い無いですしね!!

(いけだ)

そうですよね!

舩越さんがいれば間違いないですよね!!

(舩越さん)

急にプレッシャーですね!笑

でも期待値の高さだと思って励みます!!

 (いけだ)

今まで人工流れ星としてのイメージが強かったですが、気になっていた大気データ事業の詳しい説明と、お二人の人柄にも触れられて、色んな魅力に気づけた取材でした。

今後とも定期的に取材して取り上げさせてくださいね!

ありがとうございました!

あとがき

いけだが宇宙ビジネ業界について勉強をはじめるために、宇宙ビジネス企業をピックアップしている時から話題だったALE社。

その頃は「人工流れ星なんて夢があって素敵だな〜」程度で、宇宙に対してエンタメ的なアプローチをしている企業のイメージを抱いていました。

宇宙業界を学んでいくうちに、技術力の高さや、ミッションの意味合い、岡島代表の講演などで感じ取れる想いなど惹かれていく要素が多く、『いつか取材したいな』と思っていた企業なので、今回は個人的にも嬉しく、そして以前から気になっていた『大気データ事業』について、詳しく説明してもらえたので、理解が深まったと思っています。

この記事を読んでくれているみなさんにも、人工流れ星とはまた違った”ALEらしい”科学的なアプローチである『大気データ事業』を知って欲しかったのでクローズアップしました。

日本でも沢山の宇宙企業が様々なプロジェクトを行なっていますが、ALE社は日本の宇宙ビジネスを語る上では外せないと思っていますので、みなさんも今後より一層注目してください!

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ホームページ:https://star-ale.com/

Twitter:ALE _man-made shooting star project (人工流れ星プロジェクト):@ALE_StarAle

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