みなさんこんにちは!

宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。

タイトルでお分かりの通り、アクセルスペース社の事業進捗報告会に参加してきました。

実はメディア向けに今回のような事業進捗報告会はアクセルスペース社にとって初めての試みのようで、そう聞くと俄然楽しみになっちゃいますよね!!

しかも、アクセルスペース社のパートナー企業が衛星画像の利用例(ユースケース)や衛星画像活用への期待感などを話してくれるので、今まで一番聞きたかった所への期待感を高めて臨みました!

ということで、今回は全部の紹介ではなく、ユーザーとして「AxelGlobe」を活用している企業の発表をメインに据えようと思います。

今後の人工衛星データの活用においても、絶対にユースケースが参考になると思います!

 

アクセルスペース社については、以前の記者発表の記事で取り上げていますので、詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください。

【アクセルスペース社】日本初!量産人工衛星打ち上げに向けたお披露目会【記者発表】

そして、事業進捗報告会で司会をしていた広報の生本さんに後日取材をしているので、そちらもお楽しみに!

衛生画像の活用事例

オンラインで開催された今回の事業進捗報告会に海外からは4社がビデオメッセージとして活用事例の紹介がありましたが、いけだとしては、日本での活用が広がって欲しいので、特に日本企業にフォーカスした記事にしますので、海外企業は簡単な紹介とさせてもらいます。

・オーストラリア Date Farming社

・ロシア Exact Farming社

・フランス HAED Aerospace社

・ザンビア Lloyds Financial社

上記4社からビデオメッセージがありました。

Data Farming社とExact Farming社はそれぞれが農業系のビジネスを行なっていて、対象となる農地が広大なので広い地域を一気に観測できる人工衛星との相性が抜群です。

さらには、現在観測頻度が2〜3日に1回であるAxelGlobeが今年の追加打ち上げで1日に1回となることで、より高頻度にデータを取得できることに期待していると話していました。

HEAD Aerospace社は全世界へ向けたリモートセンシング画像のマーケットプレイスを構築していて、軌道上に45機の人工衛星を持っていて、AxelGlobeのデータも活用することで、さらに精度の高いデータを作り上げています。

Lloyds Financial社はザンビアを中心にアフリカ全土でのインフラ監視や、道路監視などをアクセルスペース社と一緒に取り組んでいます。

海外企業の4社で共通しているのは対象の地域の広大さと、データの可視化を提供しているということと感じました。

両方ともにAxelGlobeの強みの部分なので、機数が増えることでプロジェクトも順調に進んでいくんだろうと想像が出来ました。

世界的に見れば人工衛星データの活用はどんどん進んでいますが、いけだが気になっているのは『日本』での活用と、一般ユーザーにとっての利用という部分なので、この後の日本企業の活用事例が聞けることが本当に貴重だと思っています。

気になる日本での活用事例を紹介してくれる3社です。

・国立研究開発法人 防災科学技術研究所

・會澤高圧コンクリート株式会社

・株式会社JX通信社

(You Tubeより:Axelspace)

国立研究開発法人 防災科学技術研究所

トップバッターは国立研究開発法人 防災科学技術研究所(以下「防災科研」)の事例ですが、名前からも分かる通り、防災関連での人工衛星の活用事例です。

(You Tubeより:Axelspace)

みなさんは防災関連での人工衛星のデータ活用でどんなことをイメージされるでしょうか?

テレビで報じられている被害のリアルタイムな中継は人工衛星には出来ません。

ただ、人工衛星の強みの1つに『広域観測』があります。

1度の観測で、広い地域の状況をデータ化できるので、自然災害などの広範囲にわたる被害状況を撮影することが可能となります。

また、AxelGlobeは現状でも、日本を含む中緯度地域では2日に1度の観測頻度なので被害の状況の全貌の撮影が可能となっています。

これまでは、自治体が出している災害報告書は自然災害が発生した当日、3日後、2週間後という時系列での報告書が上がり、それを元に復旧や今後の対策などを行なっていましたが、防災を研究している防災科研では、「早期・広域状況把握のためにリモートセンシングデータが活用できるのでは?」と考え人工衛星データの活用を進めています。

実際のアクセルスペース社との連携については、防災科研が構築・運用する防災クロスビューという災害情報を発信するwebページの中のデータとしてAxelGlobeデータが活用されています。

(You Tubeより:Axelspace)

上記画像は昨年の10月に発生した阿蘇山での噴火の前と後を比較した画像です。

阿蘇山を中心に右側が噴火前、左側が噴火後です。

いけだも防災クロスビューにアクセスして実際に見てみましたが、画像上のグレーの線をスライドして表示を切り替えることができます。

直感的にどれくらいの火山灰が発生したのか見て分かり、複雑な操作や画像解析など必要ないのでとても手軽に使えるツールだと感じました。

防災科研は防災クロスビュー以外にも、”衛星データ即時一元化・共有システム『ワンストップシステム』”の開発を行なっていて、多くの衛星のデータを集めて即時性と地球上の全域をカバーしていこうとしています。

自然災害については、防ぐこと、備えることで被害を抑えることが可能です。

これまでの災害発生データをもとに分析し、これからの災害発生の兆候をいち早く察知し、ユーザーに届ける。

被災してしまったらその状況を即時に把握することで、救援がスムーズに行えるので、いけだは人工衛星の強みを活かした活用事例だと納得しました。

會澤高圧コンクリート株式会社

(You Tubeより:Axelspace)

社名からするとちょっと人工衛星活用のイメージが湧かなかったのですが、総合コンクリートメーカーでありながら、脱酸素第一を方針に掲げ、水害を中心とする被害予測システムなどを開発している企業です。

今後の中核拠点として、福島県の浪江町でRDMセンター(研究開発型生産拠点)を建設中で、その中での防災支援システムの一部として人工衛星データが活用されていました。

(You Tubeより:Axelspace)

浪江町と実用化開発を進めているこの防災支援システムの特徴としては、

・衛星利用による洪水予測

・パーソナルな災害警報

・津波のブロードキャスト

この3点です。

人工衛星の活用としては河川の幅の監視を行い、増水している際の氾濫のリスクを検知する仕組みを構築しています。

現状では特定地域の撮影頻度では災害の前後の比較として、災害地域の把握で終わってしまうことが多いのですが、AxelGlobeのように1日に1回のように高頻度での撮影が可能となってきた際には、人工衛星の活用がさらに活発化する未来を確信して、今のうちから人工衛星のデータを組み込むシステムにしているようです。

また、一つの人工衛星からのデータで完結するのではなく、多種の人工衛星からのデータを活用することで、川幅の評価の精度を高めています。

人工衛星のデータを補完するためにもエンジンドローンによる観測災害発生時のブロードキャストを行うためにもドローンの活用を進めているようです。

(You Tubeより:Axelspace)

防災アプリケーションなので平常時には何も起こりませんが、災害を検知したら“どれくらい後の時間に、どの地域にどのような被害が出る”のかを通知してくれて、さらにはエンジンドローンによるリアルタイム映像を配信することによって、避難行動を起こさせる仕組みになっています。

実際に身近な出来事なんだと言うことを実感してもらう事が避難行動につながり、被害を最小限に食い止める方法だと思いました。

実際にいけだの地元である鹿児島県も、毎年のように台風での被害が発生しているのですが、畑や田んぼの状況を確認しに行って、氾濫した河川に落ちてしまったり、崖崩れに巻き込まれるような被害が発生しているので、この仕組みが全国に浸透していくことを期待しています。

株式会社JX通信社

(You Tubeより:Axelspace)

最後の3社目は“記者0人の通信社”である株式会社JX通信社

これまでの2社のような防災・防災支援関連ではなく、報道としての人工衛星データの活用となります。

各種SNSのビッグデータを用いた即時情報発信システムのFASTALERTでのAxelGlobeとの連携で今回の発表で唯一B to B to Bとしての活用事例となります。

(You Tubeより:Axelspace)

テクノロジーの力で取材した結果をメディアに提供したり、自治体や個人に届けているJX通信社が掲げるFASTALERTというプラットフォームでは、主要SNSからのデータとライブカメラや渋滞情報、人工衛星からのデータなどのビッグデータを掛け合わせて、AIが判断しリスク情報を即時に配信しています。

Twitterを中心とした主要SNSからAIで1分間に1,000件〜2,000件を読み込んで解析し、最短60秒で情報を配信しているので、日本国内であれば”いつ、どこで、何が起きたのか”を最初に知るのは目撃者で、その次がFASTALERTとなります

その情報を元に、メディアとしては人工衛星からの写真が欲しかったり、ドローンを飛ばしたかったりするのを、JX通信社が代表して撮影してしまおうというのが今回の基本コンセプトで、AI解析で割り出されたニーズに則り人工衛星でデータを取得しようという仕組みです。

現状ではFASTALERTの中に、共同撮影をした人工衛星データがコンテンツとして提供されています。

昨年の熱海での土砂災害の発生前後の比較写真や、福徳岡ノ場の連続写真があります。

(You Tubeより:Axelspace)

同じ地点を連続で撮影することで、時間経過による状況の変化が分かり、さまざまな機関から支持を集めたようでした。

気軽に現地に行けないような場所の撮影は、まさに人工衛星の強みの部分だと感じました。

災害活用だけではなく、JX通信社としてユニークな活用方法なのが、南極観測船しらせの撮影です。

(You Tubeより:Axelspace)

破氷船なので氷を砕いて進んでいる軌跡が撮影されていて、メディアとして”見たこともないような写真”の提供も行なっています。

南極観測船の軌跡なんて一般に生活していると目にする機会がないような写真などが、もっと身近に見れるようになってくると、それを元にアイデアを閃く人も増えてくると思うので、どんどん活性化してほしいと感じました。

記者発表を通しての感想

これまのいけだのイメージとしても海外での人工衛星の活用としては、広大敷地での農業関連や、インフラ観測など広域撮影の強みを活かせる方法が多い印象でしたが、日本での人工衛星の活用事例の情報があまり無く、さらにはイメージが湧きづらかったので、発表をしてくれた3社のプロジェクトで現実的な活用事例を見ることができたのはとても大きな収穫に感じました。

今回の活用事例がもっと浸透し、多くの企業、ゆくゆくは個人が日常的に利用していく日が早くきて欲しいと思っているので、今後のアクセルスペースにも大注目しなきゃですね!!

アクセルスペース広報の生本めい氏に直撃インタビュー!

記者発表の後日、司会をされていた生本さんに取材をして色々と聞かせていただきました!

記者発表の時に活用事例として印象的だったのが、『複合的に』『多角的に』という使い方で、AxelGlobeだけで事業形成しているわけではないという事だったので、生本さんに聞いてみました!

生本さん:「弊社の中分解能人工衛星だけでなく、様々な種類の人工衛星や各種データを掛け合わせることで、カバーできる範囲が広がるので、弊社としてはこのように衛星データの活用が社会で広がることは嬉しいです。」

今までいけだは、”人工衛星単体でどんなことが事業化できるのかな〜”という発想しかなかったので、他のものと掛け合わせて、“人工衛星データで補完する”という発想が無かったので、活用事例を聞いて「そういう使い方か!」と思いましたし、生本さんのお話を聞いて、「アクセルスペースとしても想定している使い方なんだ!」って驚きもありました!!

もう一つ、今回の記者発表で気になっていた点として海外での実績の多さでした。

生本さん:「中分解能人工衛星の特徴として、世界中を満遍なく撮影可能ですし、広域の観測が出来るので海外で活用されているケースは多くあります。今年中に追加4機の衛星を打ち上げることで、1日1回の撮影頻度でデータを取得できるようになるので、更に需要は高まると思いますし、日本でも活用できる幅が広がると思っています。」

日本の宇宙ベンチャー企業であるアクセルスペースですが、市場としては全世界を対象としているので、今後のビジネスの積み重ねとして、実績の多さで群を抜いていくのではないかといけだは予想しています!!

今後も人工衛星の打ち上げも含めて話題が豊富なアクセルスペースなので、チャンスを伺って生本さんに根掘り葉掘り聞き出していこうと思っていますので、みなさんお楽しみに!

【各種SNS】

株式会社アクセルスペースHP:https://www.axelspace.com/

Twitter:Axelspace:@axelspace

YouTube:株式会社アクセルスペース:https://www.youtube.com/c/Axelspace/featured

noteアクセルスペース|宇宙ベンチャー🛰https://note.com/axelspace/

Instagram:theaxelspace:https://www.instagram.com/theaxelspace/

アクセルスペース社はSNSでの発信も活発なので、みなさんご注目ください!

また、気になっているならアクションしちゃいましょう!!

まずはこの記事を読んだり、YouTubeを見ると理解が深められると思いますよ!!