みなさんこんばんは⭐️
宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です!
今回は宇宙ビジネスMEDIAとしても初の書籍を取り上げる記事です!!
『ワンルームから宇宙をのぞく』というタイトルで、初出版となる作者の久保勇貴氏との対談インタビューの記事なのですが、そもそも取り上げようと思ったきっかけが、発行元の太田出版の編集さんから「宇宙の若手研究者が書籍を初出版するのでぜひ取材をしてほしい!」という依頼から始まりました。
作者のプロフィールも拝見。
久保 勇貴(くぼ ゆうき)
1994年、福岡生まれ、兵庫育ち。
JAXA宇宙科学研究所研究員。
2022年、東京大学大学院・博士課程修了。博士(工学)。
宇宙機の力学や制御工学を専門としながら、
JAXA宇宙科学研究所のさまざまな
宇宙探査プロジェクトに携わっている。
ガンダムが好きで、抹茶が嫌い。
大きな音はもっと嫌い。(「ワンルームから宇宙をのぞく」より)
気になるプロフィール、そしてタイトルと若手研究者の初書籍という点で惹かれ、出版前の原稿を読ませて貰って取材を決めました!
読んでみて面白かったらどんな人が書いているのか気になりますよね!!
ということで、今回の対談では内容にはさらりと触れますが、主に作者の『久保さんがどんな人なのか』などいち読者としてのいけだ個人の気になるところをインタビューしてきました。
この記事を読んでから『ワンルームから宇宙をのぞく』を読み始めると、久保さんがどんな想いで書いていたのか分かってもらえると思いますし、『ワンルームから宇宙をのぞく』を読んでからこの記事を読むと、気になっていたことが少しは分かるかもしれません♪
対談スタート!!
(いけだ)
久保さん宜しくお願いします!早速ですが、色々と聞かせて頂きますね!
以前からブログやオンラインメディアでの連載などされていましたが、初めて書籍を書いてみてどうでしたか?
(久保さん)
中身は連載をまとめたものなんですが、本にするにあたってもう一回読み直したりして、自分も書いている内に書きっぷりが変わってきている部分が結構あったので直していきましたね。
太田出版での連載の時は、苦しいというか、書き切るのを諦めてしまっていたものが2つくらいあたんです。
それを編集の藤澤 千春さんに「この章もうちょっと加筆しましょう!」と言ってもらい、大きな改稿をしました。
改めて読み直して何が言いたかったんだろう、何を諦めちゃったんだろうという部分を掘り返してみました。
当時の自分としては完成品として出したつもりだったけど、確かに書ききれていなかった部分や、ある種投げやりに書いていた部分があるなと思い、藤澤さんからのコメントを読んでいても的確に刺さる部分が多くありました。
それが凄く良かったと思っています。
もう一度、諦めてしまった表現をやり直し、改稿してみて良くなったと思っています。
“自分が表現を諦めちゃいけないんだな”と、ある種エッセイというものに早々に見切りをつけようとしていた所があったけど、エッセイというもの自体にはもっと表現の可能性があるはずで、自分が諦めてしまっていただけなのだと気付き、表現に対して、そういう文化に対して申し訳ないなと思いました。
本にするにあたり改めて向き合って、自分として表現を信じることができましたね。
(いけだ)
そうなんですね。
そういう話を聞くと色々と考えさせられます。
いち読者として読んだ感想として、普段から馴染みのある表現や言葉が多く使われている印象なんですが、ありふれている言葉なのに、表現としては”久保さんの世界観が出ているな〜”と思っていたので、今のお話を聞くとやっぱり色々と考えられて書き出されていた文章なんだなと思いました。
先程のお話の中でも出てきましたが、編集の藤澤さんがコメントで的確に痛いところを突かれていたようですが、実際の作者と編集さんってどんなパワーバランスで、どんなやり取りがある関係なんですか??
(久保さん)
藤澤さんは僕の文章の、地上の話をしていたと思っていたら月に飛んだり、抽象化を通して色んな話題に飛んでいったりする”飛躍”がいいと言ってくれていたのですが、大きな書き直しをした章ではその飛躍が無かったと言われましたね。
基本的には僕がやりたいことを受け入れてくださっているからこそ「もっとできるはずだよ!」と、味方だからこそ「もっと書けるだろ!」って言ってもらえていると感じました。
自分が出来ていなかった事や、書ききれなかったことを見つめ直して背筋が伸びた感じがしますね。
愛の鞭を感じて”頑張らなきゃ!”って思えたんですね!
読者としては、作者も編集者も遠い存在だからイメージがわかない部分もあるんですが、あとがきの中で「あぁ〜こんな感じのやり取りがあったんだな〜」とか普段見れないような部分が垣間見れたのが良かったです。
藤澤さんから見て、初めて本を出す作者としてどうでしたか?
(藤澤さん)
私は元々、久保さんの文章はブログとかUmeeTの連載とかで拝読していて、「もう筆力には間違いがない!」という自信があったので、あとは久保さんが世の中に出ていく時に、”どうやって魅力を分かってもらうか”という所がまず大きかったですね。
久保さんの力を最大限に引き出す事が役目だと思いました!
連載の時は久保さんの感情の渦中に原稿を提出してもらうことが多く、生なしい表現が出てくるんですが、それを改めて本にする時に、少し引いた目線で見た時に”どうかな?”と考えました。
その時に書き足りなかった事があるはずだと思ったので、それを是非書いてもらいたいと思いましたね。
元々持っているものが本当に素晴らしいので、あとは如何に届けるかでしたね。
装丁・装画を手掛けてくれた鈴木 千佳子さんとの打ち合わせの際や、福岡伸一さん・ヨシタケシンスケさん、山崎直子さんから推薦のコメントをいただく時も久保さんの魅力を分かってもらえる事を意識しました。
久保さんのデビュー作だからこそ失敗できないというか、「上手くいかなかったら自分の責任だ」、「素材がいいんだからお前の料理次第だ」って自分の中で思っていましたね!笑笑
たしかに”知れば”、”読めば”絶対に面白ってみんな思うはずだと感じているので、あとは見せ方がめっちゃ重要なんだろうなと思いましたね!
(藤澤さん)
そうです!そうです!
ホントに久保さんが如何に魅力的な人なのかを世の中の人に分かってほしいので、基本的に改稿も”如何に久保さんの最大値を残すか”ということを考えて取り組んでいました。
(いけだ)
推薦コメントや表紙からのイメージだと、「結構宇宙に寄っているのかな」と思ったんですが、実際には「宇宙もありつつ、久保さんの内面ストーリーが結構赤裸々に書かれているな」と印象が変わりましたね。
エッセイというよりはこれまでの自伝的な「ここまで書いちゃうんだ!」って感じがしたので、そこがいけだとしては、久保さんという作者を知れた気持ちになれましたね。
だからこそ多くの人が読んで楽しめる作品だと思うので、あとは太田出版さんがどれだけ宣伝してくれるかにかかっていますね!笑
(久保さん)
ぜひお願いしたいですね!笑笑
私一人の力では限界があると早々に感じているので。
(いけだ)
そこはもうプロの方々が色々とプロモーションされるんですよ!
(藤澤さん)
もちろん頑張ります!!
例えば、科学とか関係ない分野だとしても久保さんが書かれている悩みとか葛藤とかって仕事で試行錯誤する上ではすごいあるあるだと思うんですよ。
(いけだ)
いや、ホント同感です!!
(藤澤さん)
そうですよね!
在宅で一人でチマチマ頑張っているところや、そこに恋愛が入ってきたり、自分の仕事の意義を考えてしまう瞬間とか、大きなニュースがあって自分の仕事との関係とか考えると思うんです。
もちろん、宇宙が入り口になるとは思うんですが、色んなジャンルの人、「特に仕事をコツコツ頑張って毎日いろんなことを考えちゃうんだよな」っていう人にも読んでもらえたらいいなと思っています。
(いけだ)
確かに共感できる部分も多くて、宇宙の科学者で研究をしている人って、やっぱり遠い存在に感じていたんですが、この本を読んでみて、子供の頃の久保さんや一人で仕事に向き合っている久保さんの想いが伝わってくると、「なんだ一緒じゃん!」って思えたんですよ。
多分、小学校高学年なら読める内容だと思うんですよね。
説明としても理解しやすいので、知らなかった科学知識もすんなり入ってきましたし、社会人で宇宙が好きな人にもチャレンジする火をつけられる本だと感じてます。
(久保さん)
宇宙というと良いイメージも持たれるんですが、「へぇ〜すごいね〜」とか「難しいことをやってるんだ〜」とか遠い空を見上げて他人事のような感じになってしまうことがあります。
僕自身も這いつくばりながら自分も空を見上げている感覚もあるので、そういった部分の親近感というか「あ、この人も同じ地面で生きているんだ」と感じてほしいですね。
(いけだ)
そうですよね。
同じワンルームから宇宙をのぞいている人がたくさんいるんでしょうしね♪
(久保さん)
そういえば『ワンルームから宇宙をのぞく』ってタイトルは藤澤さんがつけてくれたんですよ!
ずっと聞いていなかったけど、最初はどうだったんですか?
(藤澤さん)
ちょうど連載が始まった頃って、コロナが「本当に終息するの?」って雰囲気になっていて、一年位したら終わるって言われていたのに、もう一年たっちゃったけど、、、ってタイミングで社会が暗かったような気がします。
そんな時に久保さんに「最近研究室とか行っているんですか?」って聞いたら『いや、家ですね!』って言っていて、「えっ、、、家?!」ってなったんですよね!笑笑
久保さんが一人暮らし用の家から宇宙探査機を飛ばすための研究をされているのが凄くダイナミックで面白いというか、コロナの時の閉塞感にちょっと光が差すような感覚があって、「そっか!ワンルームからでも宇宙に行けるんだ♪」っていうのを表したかったんです。
在宅ワークやオンライン授業をやっている人に久保さんの文章を届けて、希望になってくれたらいいなと思って、“一人暮らしの家で、こんなにも面白いことをやっている人がいるぞ!”って伝えたかったですね!
そうだったんですね!
目次案の中で、一つの章として”ワンルームから宇宙をのぞく”って書いてあったので、「いいな!」と思ってパクらせていただきました!笑笑
(藤澤さん)
久保さんの”おもしろさ”を伝えられる言葉だと思いましたね!
(いけだ)
最初はひとつの章のタイトルで使う予定だったんですね!
(久保さん)
そうです。
目次の構成も、恋愛の話や、在宅勤務の話などそれぞれのトピックにまとめてみようとしていたんですが、最終的には全部並列で並べることにしました。
その時に『いいな!』って思って、連載のタイトルになり、本のタイトルになった感じです!
(いけだ)
確かに目を引くタイトルだなとは思いましたね!
さらに目次のページを開いてみるとぶっちゃけよく分からない事が書かれているなと思いました!笑
“『フィボナッチ、鹿児島の夏』なんのことやら?”って感じはしましたけど、逆に想像つかないからこそ気になっちゃいましたね!
もう少し難しい目次だったら読むのを諦めてたかもしれませんが、自分でも読めるかもと思わせてくれるタイトルでしたし、物理や科学の内容なんて全くやったこと無いのに、読んだら理解できたからそれも凄いなと感じましたね!
(久保さん)
科学の部分も結構気を使うというか、子ども向けの本だと内容を優しく書き過ぎてしまって本当に面白い部分を伝えられなかったりもします。科学の部分の骨組みはしっかりとさせたかったのでバランスに気を配りましたね。
でも、こういう書き物も危ういところを行っている感覚もあります。科学は本来は感情とは切り離されて考えられるべきものなんですよね。過去には主観と結びついて科学が悪用され例はよくあって、特に宇宙ってそういうものとして使われやすかったりするんですよね。
間違った事を書いてしまうと受け取る側に良い影響だけではなく、悪い影響を与えるものになってしまいます。自分も聞こえのいい言葉に甘えてさらさらっと書いちゃうことがあります。
「今危ういかも!」って思う時があります。科学のパートは重くなり過ぎないように意識しましたが、でもそういう風に気をつけなければいけないこともあるので、いけださんのように「理解できた」と言ってもらえるのは凄く嬉しいですね!
(いけだ)
科学についての記述は、科学に全く触れてきてないいけだでも、スッと入ってくるくらいのボリュームだったので、バランスは凄くいいと思いましたし、大事な内容にも触れていたり、逆に他では触れたがらないような部分にも触れているなと感じました。
スペースシャトルで事故があったことや、ロケットや人工衛星の開発には軍事的な側面があることなど。
ただ、それによって科学者の葛藤があるって「宇宙って凄いんでしょ〜」って少し冷めた目で見ちゃっている人からすると身近に感じられるかもしれません。
糸川先生の事が書かれている章でも、日本のロケット開発が遅れてしまっている歴史について、知らない人も多い中で、綺麗な部分だけではなく、あまり触れたく無いような、でも本当のことに触れて書かれているのが、共感というか凄いなって思った部分ですね。
科学者ってやっぱり身近な存在じゃないからこそ、”自分の研究が戦争に使われる可能性がある”という思いを抱えているって知らなかった部分だったので、色々と考えさせられましたが、いろんな意味で好きな章でしたね。
こんなことまで書いちゃって大丈夫かなって思ったりもしましたけどね!笑
(久保さん)
やっぱり個人だからこそ書ける部分もありましたね!笑笑
糸川先生の章は僕も気に入っています。科学者って「厳正な科学の事実に基づいて、冷徹にものを判断している」ように見えていると思いますし、時にはそうあるべきだとは思っています。ですが、この章の中で出てくる先生との会話の中でも『中立で語れるということが大事で、稀有な存在なんだよ』という内なる信念に触れ、僕自身も感動しましたね。
だからこそ、この章は読んでほしいので、ウェブの試し読みで勧める時はこの章にしています!
(いけだ)
この章の内容って、あまり語られない部分だと思いますし、宇宙産業的にもあまり綺麗な部分でありません。
投資を集めていくフェーズだと宇宙産業ってキラキラさせた方がいいですし。
でも過去にはスペースシャトルの事故があった一方で、ロケットは当たり前として打ち上げられるものだと思いこむし、宇宙飛行士は当たり前のように宇宙に行くし、普通に生活している中で知れる情報に偏りが出るのを感じています。
その中で、久保さんの本としては、宇宙についても科学についてもしっかりと触れてくれていて、その研究をしている久保さんが凄く個性的な文章を書いているので、めちゃめちゃ興味があったんですよね♪
(久保さん)
周りの研究者からすると「何してるん?」って少し冷め目で見られたりもしますし、連載も同じ業界の人はあまり読まないんだろうなと思ってます。笑
だけど、普通の科学エッセイや宇宙の話主体の本だと業界の人が読んで、「あぁ〜またこの話か〜」ってなると思うんですが、この本の読者にとってはそうではないと思っています。
宇宙業界の人にも、もちろんそれ以外の人にも読んでほしいなと思っています。
僕が今いるのはアカデミックなポストで、”論文の成果が命”なので、「こんなもの書いている暇があったら論文書けよ!」って言われてしまうかもしれませんが、そういう人にも一般の人がどんなことに関心を持っているのか知ってもらうという意味で、読んで欲しいなと思っています。
(いけだ)
読んでみた感想としては、宇宙宇宙もしていないし、科学科学もしていないし、エッセイエッセイもしていないので、自分の中の本棚のジャンルとしてどこに置こうか迷う一冊なんですが、学びにもつながると思うので、本当にいろんな人に読んでもらいたいなって思いますね。
(久保さん)
僕自身も宇宙も科学も表現も割と同列で見ている所があって、そこが他の人と価値観が違うなと感じている部分でもありますね。
自分の人生を豊かにするモノの一つとして、宇宙もありますし、科学の研究もあるし、表現もあります。優劣なく並列に置いているので、こんな感じのごちゃ混ぜ感になっているんだと思います!笑
宇宙の界隈にいると、「宇宙の謎を解き明かすこと is 人生の目的」ってなりがちで、それもめちゃくちゃカッコいいし、素敵だと思うんですが、僕自身はあまり共感はしていません。そういう考え方もあくまで価値観の一つなので、例えばもっと面白い演劇やもの凄い音楽を生み出すこととそんなに違わないんじゃないのかなって思っています。
(いけだ)
失礼な表現かも知れませんが、久保さんって変わってますよね!笑
(久保さん)
そうかもしれません!笑
(いけだ)
でも、それが凄く本から伝わってきて、一般的なイメージからする科学者、研究者がこんな表現するんだ!って思いましたもん!
読んでいる時から「久保さんってどんな人なんだろ?」って凄く気になっていたんですが、こうやって話をしてみていい意味でやっぱり変わっているなと思いましたよ!
文章の表現も自分たちと同じ目線の表現が多かったので、凄く読みやすかったです。普段から活字に触れていない人でも読みやすい本だと思いましたね。
(久保さん)
あとがきにも書きましたが、僕自身が活字に触れていない人で、僕が読めないからこそ、”分かるように書かなきゃな”と思って書きましたね。笑
(いけだ)
それがめちゃくちゃ意外だったんですよ!
こんなに文章を書いている人が活字が苦手って驚きでしたよ!
一冊全部読んで、宇宙のこと、科学のこと、久保さんのこと、出版までの経緯や、編集者の藤澤さんとのことまでいろんな思いを受け取れた気分になりました。
(久保さん)
その時、その瞬間にしか書けないものを書こうというのがあるからこそ、一貫したテーマではなく色んなもの飛んでいったりしますね!笑
(いけだ)
私としてはそういう部分も含めて楽しかったし、読みやすかった部分でもありますね!
では、最後に久保さん、藤澤さんから”伝えたい”コメントをいただければと思います!!
(藤澤さん)
えっ、、私も!?
じゃあ、真面目に話しますが、久保さんの文章はブログの頃から知っていて、『こんなすごい人は自分の手で絶対にデビューさせる!!』って決めていました。
久保さんも本の中で触れていますが、実は私は数式を見ると蕁麻疹が出るタイプなんです。でも、久保さんはそういう人にも優しい目線で文章を書かれています。
「飛ばしたい人は飛ばしてねー」とか。しかももっと踏み込んで、フラットアースや地動説の話も書いているんです。数学できない人からすると科学者って怖いイメージあるじゃないですか!笑笑
でも久保さんは怒らないし、一緒に考えてくれるし、心細さに寄り添ってくれます。なので、いつもとちょっと違う世界をのぞく気分で、勉強しようとかではなく、詩集や哲学書を読むような気持ちで読んでくれたらなと思います。
(いけだ)
寄り添ってくれる感分かります〜!!
素敵な話だったので、久保さんにも素敵な話をお願いしますね!笑
(久保さん)
たしかに宇宙の本というよりは哲学の本って言ってもいいかもしれませんね。
宇宙という入り口ですが、態度としては哲学的な、自分個人の哲学を更新したいという思いで書いています。
もし”宇宙の本”、”理系の本”ってことで敬遠しちゃうようなことがあるなら「そうじゃないよ!」って言いたいですね。
むしろ、文学や哲学などを読んでいる人の方がスッと入ってくるかもしれませんし、だからこそ宇宙の業界にいる人にも楽しんでもらえると思うので、理系文系問わず多くの人に読んでもらいたいなと思います。
僕自身、そもそも何でこんなに表現をしたいんだろ?って、この本を売り出すにあたって考えてみました。理系の研究者として研究活動のアウトリーチは必要でも、自己表現である必要はないと思います。それでも表現活動をしたいと思うのは、やっぱり自分がそういう”表現”に感動をしてきたからなんですよね。
本はあんまり読んでこなかったですが、演劇や音楽などの凄まじい表現や凄まじい作品に触れたときに「こんなのを自分も作りたい!」と思ってきたし、そういうものに救われてきました。この本には僕自身のことばかり書いていて、アドバイスのようなことは何も言えませんが、「この本で救い出すことはできないけど、隣にはいてあげられるよ」って伝えたいです。
もし、周りに仲間がいなかったり、友達はいるんだけど孤独感があるとか、そういう人がいたら手にとってもらいたいですね。
あとがき
作者の久保さんと編集者の藤澤さんとの対談インタビューでした!
本を読んでいくと、作者の久保さんへの興味がどんどんと湧いてきて、読者目線としてファンとしての対談になりましたが、作品のあとがきまで読んで、何度も打ち合わせをしていくと編集者である藤澤さんの情熱も凄いなと感じたので、取材に参加してもらいました。
久保さんのコメントで
「この本で救い出すことはできないけど、隣にはいてあげられるよ」
という表現がありましたが、ここは凄く印象的で、集約されている気がします。
色んな感情が飛び出てくる作品ですが、藤澤さんも言っていますが、優しさが伝わると思いますし、等身大の久保さんが感じられると思います。
いけだ的には激推しの一冊です!
(Amazon:ワンルームから宇宙をのぞく)