JAXA(宇宙航空研究開発機構)とよく聞きますが、どんな仕事をしているかイメージつきますか?
もしかしたら、先日宇宙に行ったと話題になった野口聡一さんなど、宇宙飛行士はすぐ思いつくかもしれませんね!
そこで今回はJAXAで働いている人たちは、どんなことをしているのかを紹介致します!

JAXAとは

JAXAは日本の航空宇宙開発政策全般を担う機関です。ロケット開発や宇宙探索など宇宙開発はもちろんのこと、通信、気象観測など日常生活を支えるインフラの開発をしています。

実は、JAXAは3つの機関が統合して誕生したのを皆さん知ってましたか?
2003年に宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3つの機関が統合して誕生しました。
統合したことにより、宇宙航空分野の基礎研究から開発・利用するための機関が1つの機関に整いました。

その成果により現在は数々のロケット打ち上げに成功しています。
下の画像は
2018年10月29日 「いぶき2号」/H-IIAロケット40号機の打ち上げが成功した写真です。


(提供:JAXA)

事業実施組織の紹介

JAXAでは、人工衛星、ロケット、宇宙ステーションや宇宙科学などの宇宙航空に関するさまざまな研究をおこなっています。各組織の事業実施組織を紹介致します。

(提供:JAXA)

宇宙輸送技術部門

地球と宇宙を繋ぐ輸送手段であるロケットを取り扱う部署です。

現在ではH3ロケット(柔軟性、高信頼性、低価格実現を目指しているロケット)の開発が行われていますが、燃焼試験において燃焼室の内面に変化が生じたこと(割れ目が14ヶ所発生)、液体水素ターボポンプ(水素と酸素を燃料タンクからロケットの燃焼器へ送る役目)のタービン動翼部の破損(76枚中の2枚)の2つの課題の原因究明と対応策の検討を確実に行う為に打上げ計画の見直しが発表されました。

現在運用中のロケットで打ち上げに失敗したのは1機のみだそうです。凄いですよね、私もびっくりしました。高信頼度のロケット開発を確実に成功させるためにトライ&エラーを繰り返してより確実なものに仕上げていくという熱意や情熱が伝わってきますね。

第一、第二宇宙技術部門

人々の暮らしを支える人工衛星等の開発、利用を行う部署です。

主に人工衛星を利用した地球観測や災害監視、通信技術の研究開発に取り組んでいます。
現在では2020年11月29日(日)の光衛星間通信システム(LUCAS)の打ち上げに向けて準備をしており、LUCASによって宇宙空間での大容量光データ通信が実現するそうです。

私たちの身近なもので人工衛星というと人工衛星を利用した位置情報、災害状況の把握などが想像しやすいかと思います。私もよく位置情報を利用していますが、便利ですよね。

有人宇宙技術部門

ISS(国際宇宙ステーション)や「きぼう」といった有人による宇宙環境利用システムなどの開発、運用を行う部署です。

日本初の有人実験施設である「きぼう」では、地上と異なる環境を最大限に利用した物質材料の研究開発や医学生物における事象解明などにつながる様々な研究開発を行っています。最近のニュースでご存じかと思いますが、野口宇宙飛行士らがクルードラゴン宇宙船に乗ってISSへ入室し、約半年間の長期滞在を開始しました。

これからISSにて微小重力、微小対流という環境を使った実験が行われます。今回は臓器の培養技術の開発や固体材料の燃焼実験等を計画しており、燃焼実験の結果がどうでるのか楽しみです。

素晴らしい実験結果が創出されることを期待してます。

宇宙科学研究所

宇宙の起源・構造・進化の謎や、惑星の誕生のプロセスを解明し、生命の起源を探るための研究活動を行う部署です。

宇宙科学研究所では天文観測、太陽系化学、宇宙環境利用化学、宇宙工学が活動の中心となっています。主に科学衛星・探査機や打上げ用ロケット、観測ロケット、大気球の研究、開発が行われております。

宇宙科学研究所ではロケットのほかに気球の開発も行われており、長時間飛び続けられるスーパープレッシャー気球の開発を行っています。
密閉して圧力をかけておくことで、日が沈んでもしぼまないようにしたのがスーパープレッシャー気球です。スーパープレッシャー気球は温度環境が変化しても浮力が影響を受けにくいため、金星や火星などの大気を持つ惑星でも使用できる可能性があるそうです。
気球を使用して金星や火星等の地表観測や大気観測の実現が叶うかもしれませんね。

航空技術部門

航空分野の環境技術、安全技術に関する研究開発を行う部署です。

環境にやさしいエンジン技術や機体の低騒音化、乱気流の流れを事前に検知して機体をコントロールする技術など、環境問題と安全性を追求し、技術革新を目指しています。

航空機がより安全に快適に飛行するために必要な機関ですね。自動飛行や、スマートフライト(高度判断支援)技術の研究開発、無人航空技術の発展には期待が高まりますね。

次世代航空イノベーションハブ

異分野・異業種も含めた多様な組織の連携によって社会や産業界への橋渡し機能により、研究開発成果の社会実装を実現する部署です。

広く人材、知識を結集し、これまで以上に効果的・効率的に航空科学技術の研究開発を行う機関となります。
研究開発例としては、特殊気象(雪氷、雷、火山灰)を回避、防御できる「気象影響防御技術」や航空機運航の効率性、安全性向上、エミッションフリー(排出物ゼロ)の実現を目指した研究開発などが行われているようです。

航空機におけるエミッションフリーの実現に向けて燃料電池やガスタービンエンジンなどと組み合わせて航空機の電動化を進めているそうですね。
航空機の電動化で航空機の見た目にも変化が生じるのでしょうか?
私たちが目にする日もそう遠くないのかもしれないですね。

宇宙探査イノベーションハブ

人類の活動領域の拡大と、科学技術の未踏領域の二つのフロンティアを開く活動として「宇宙探査」を推進している部署です。

大型探査機を使用した探査が行われておりますが、探査場所が限られてしまうため、複数の小型探査機で行うことで広範囲で密度の濃い探査の実現を目指しています。
また、将来は有人基地拠点の建設技術獲得を目指しています。拠点の建設を原則無人で行うよう目指しているそうです。

宇宙探査の進展により私たちが別の惑星に行ける日が来るかもしれませんね。
また遠隔操作と自動、自律建設技術により建設が無人で行われるような日がくるのかと思うと驚きを隠せませんね。

国際宇宙探査センター

国際宇宙探査の推進にあたり、All-JAXAの技術と英知を結集し、本格的に進めていくための部署です。

このセンターは、探査計画の総合調整及び推進機能を担うほか、小型月着陸実証機(SLIM)及び火星衛星探査機(MMX)の実現を目指しています。
各部門と連携して個別の要素、研究を進め、日本宇宙探査政策の実現、産業の発展に貢献することを目指しています。

SLIMは将来の惑星探査に必要な高精度着陸技術を小型探査機で実証することで降りたい場所で降りることができるようになるので月以外の惑星への着陸も現実性を持つことになりますね。

実証できれば将来的に惑星探査の可能性が広がるので夢のある研究開発ですね。

 

宇宙輸送技術部門

宇宙輸送技術部門にはメインとなる3つの事業所があります。
それでは順番に見ていきましょう。

~宇宙輸送技術部門・3つの事業所~

茨城県つくば市にある「筑波宇宙センター」

(提供:JAXA)

1972(昭和47)年に開設した筑波宇宙センターは、約53万平方メートル(大きさで例えると東京ドーム約1個分)の敷地にあります。想像しただけでもいかに広いことが分かるかと思います。
こちらでは、人工衛星の開発や運用、技術研究の推進が行われています。

筑波宇宙センターは事前予約制ではありますが、施設内を見学することができます。(ガイド付きツアーが特に人気です)
展示館「スペースドーム」では実物大の人工衛星や本物のロケットエンジンなどを間近で見ることができます。皆さんも一度は耳にしたことがある小惑星探査機「はやぶさ」のスケールモデルも見ることが出来ますよ。

(提供:JAXA)

正門の近くにある「ロケット広場」にはH-IIロケットの実機が展示されています。全長50mは大きくて迫力がありますね!

【アクセス】
関鉄バス 『物質材料研究機構』下車 徒歩1分
つくばエクスプレス つくば駅からタクシーで約10分
JR常磐線 荒川沖駅からタクシーで約15分

鹿児島県肝属郡にある「内之浦宇宙空間観測所」

(提供:JAXA)

鹿児島県肝属郡(きもつきぐん)にある内之浦宇宙空間観測所です。

1962(昭和37)年に東京大学生産技術研究所の付属施設として設置されました。
2017(平成29)年には開設55周年を迎え、歴史ある施設となっています。
写真をご覧になると、観測所の周りが木々で覆いつくされているのが分かると思います。

こちらも先程の筑波宇宙センター同様、施設内を見学することが出来ます。
敷地内には宇宙科学資料館があり、ロケットのしくみや宇宙研究の歴史などを知ることができます。

(提供:JAXA)

見学所からロケット打ち上げ実験の様子を見ることも出来ます。
実験とはいえ、ロケットが打ちあがる瞬間を見られるのは最高ですね。

【アクセス】
笠之原ICから車で約40分
垂水港から車で約90分

鹿児島県熊毛郡にある「種子島宇宙センター」

(提供:JAXA)

敷地面積は約970万平方メートルと、とても広大な面積を誇っています。
海に面しており、風光明媚なロケーションが望めることから「世界一美しいロケット発射場」とも言われています。

(提供:JAXA)

種子島宇宙センターには、親子で楽しめる宇宙科学技術館があります。
宇宙科学技術館では、ロケットや人工衛星といった宇宙分野について幅広く学ぶことができます。

(提供:JAXA)

館内にあるロケットゾーンでは、世界で造られているロケットの模型や、日本国内で生産されているロケットの展示などを見ることができます。
また、ミニシアターも設置されており、ロケットエンジンの構造や役割を映像を通して学ぶことができます。

(提供:JAXA)

まるで宇宙飛行士になったかのような気分を味わえるフォトスポットです。
写真を見るとボールやパソコンが浮いていますね。ご家族や友人と一緒に面白写真を撮ってみるのもありかもしれません。

【アクセス】
種子島空港から車で約50分
西之表港から車で約70分

この機会に是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

JAXAで働くためには

JAXAで働くためにはどうすればいいのか?
疑問に思っている人もいるかもしれません。

今回はJAXAの応募資格をまとめてみました!!

JAXAの応募資格

JAXAが発表している新卒の応募資格をまとめてみました。

・応募している年度に高専/専門/短大/大学/大学院を卒業/修了見込みの方

・就業経験のない既卒者は、応募時点で卒業後3年以内の方

・就業経験のある既卒者は、応募時点で卒業後7年以内の方

上記の条件を満たしている方が応募できます。

JAXAの応募職種

新卒で応募している職種は、技術系と事務系の2種類あります。
JAXAというと理系のイメージが強いですが、事務系では文系も就職しています。

職種別の採用データを載せてみました。

年度 技術系 事務系
2020年 24人 5人
2019年 27人 9人
2018年 28人 8人

 

表から分かるように事務系より技術系の人数が多いです。
技術系と事務系の採用人数の比率は、2018年と2019年は4:1になっております。

 

JAXAが採用している学歴

JAXAが採用している学歴をまとめてみました。学歴は不問です。

年度 理系博士 理系修士 文系修士 理系大卒 文系大卒 理系専門・高専 文系専門・高専
2020年 10名 13名 0名 5名 0名 1名 0名
2019年 10名 13名 1名 3名 7名 1名 1名
2018年 7名 13名 0名 5名 6名 3名 2名

 

表から理系では、博士・修士の採用人数が多い事がわかります。文系では学士の採用が一番多いみたいですね。

JAXAの選考ステップ

新卒における採用の流れをまとめてみました。

①会社説明会

②エントリー

③適性検査

④面接選考

⑤採用内定

他の企業と同じような流れですね。

まとめ

JAXAについて紹介してきました!
宇宙で活動している宇宙飛行士以外にもロケットの開発や人工衛星の開発など宇宙にまつわる開発をしていましたね。JAXAと聞くと宇宙のイメージが強いですが、空の開発でもある航空技術の開発もしているのは意外でした。
ロケットの開発にまつわる3つの拠点とも見学ができますので、興味を持った人は是非足を運んでみてください!!
学生の皆さんJAXAに興味を持ったら応募してみてください!!

では、また次回お会いましょう!

 

【参考文献】

宇宙航空研究開発機構 – Wikipedia

宇宙輸送技術部門 | JAXA 新卒採用サイト

第一宇宙技術部門 | JAXA 新卒採用サイト

宇宙科学研究所 | JAXA 新卒採用サイト

航空技術部門 | JAXA 新卒採用サイト

次世代航空イノベーションハブ | 航空技術部門について

宇宙探査イノベーションハブ | JAXA 新卒採用サイト

国際宇宙探査センター | JAXA 新卒採用サイト

組織情報|About us|JAXA 宇宙輸送技術部門

筑波宇宙センター

JAXA内之浦宇宙空間観測所|鹿児島県観光サイト/かごしまの旅

種子島宇宙センターで宇宙に触れる。家族で行きたい種子島旅行

募集要項 | JAXA 新卒採用サイト

数字で見るJAXAの採用 | JAXA 新卒採用サイト