みなさんこんばんは⭐️

宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です!

今回の記事は1月24日(月)に大分県のJR大分駅付近で実施された実証実験のレポートです!

タイトルの通り、『日本初の宇宙プロモーションカンパニー』を目指す株式会社minsora準天頂衛星「みちびき」の技術を活用したサービスの実証実験を行いました。

事前にお知らせを頂いて説明会にも参加させて頂いたのですが、コロナウイルスの第6波の影響で現地にはいけなかったのですが、タイトルだけでも気になるポイントが盛り沢山だと思います!

今回のメインは実証実験の内容なのですが、「全部知ってるよー」という人は飛ばして構いませんが、情報としてキーワードをインプットしたい人向けには一つずつ簡単な紹介が必要だと思います。

それでは、まずは株式会社minsoraについてのご紹介から!!

株式会社minsoraとは?

(提供:minsora)

「地域から宇宙産業構造を変える。宇宙をもっと楽しく、面白く!」を企業理念に掲げる大分県に本社を構える宇宙企業が株式会社minsoraです。

株式会社minsoraは、これまで組むことが無かった宇宙関連企業と非宇宙産業と位置づけられていたエンターテインメント企業による「みんなの宇宙(ソラ)プロジェクト」での成果を具現化し、『日本初の宇宙プロモーションカンパニー』を目指すものです。(HPより抜粋)

HPを見ると「宇宙プロモーション」や「宇宙ブランディング」としてのイメージや、minsoraパートナーの株式会社オスカーとタッグを組んでいたり、前田亜美さんがみんソラコミュニケーターとして参加していたりとエンターテイメントのイメージがあり、いけだが宇宙ビジネスを学び始めたタイミングでminsora代表の高山 久信氏のセミナーにも参加していたので、興味津々の企業でした!

そして、今回お知らせ頂いた内容は『準天頂衛星みちびきの技術を使ったサービスの実証実験を行う』というものでした。

“楽しい”とか”面白い”モノのイメージだったので少し驚きましたが、カチッとした内容に逆に興味を惹かれました!

続いては「準天頂衛星みちびき」の簡単な解説です。

準天頂衛星みちびきとは?

みちびき(準天頂衛星システム)とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、英語ではQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)と表記します。ただし、「準天頂衛星」という場合には、準天頂軌道の衛星と静止軌道の衛星の両方を合わせて呼ぶため、準天頂軌道の衛星を区別する必要がある場合は「準天頂軌道衛星」といいます。

衛星測位システムとは、衛星からの電波によって位置情報を計算するシステムのことで、米国のGPSがよく知られており、みちびきを日本版GPSと呼ぶこともあります。(出典:みちびきウェブサイト(https://qzss.go.jp/overview/services/sv01_what.html))

みちびきのwebサイトの説明にもありますが、簡単にいうと『日本版のGPS』です。

そもそも、GPSとはアメリカが保有している位置情報サービスのことで、Global Positioning System(Satellite)を略してGPSです。

いけだも勉強するまで知らなかったのですが、GPSってアメリカ発だったんです!

みなさんも経験があるかもしれませんが、カーナビなどの道案内サービスを使っていて、”もう少しでゴールだ!”と思っていたら「目的地周辺に到着しました。ルート案内を終了します。」といきなりナビから突き放されます。。

いけだは「ナビってこんなもんなんだ」と思っていましたが、ナビもアメリカのGPSを使っているので、日本の細かいところまでカバーするものでは無いんですよね。。

そこで、日本版のGPSであるみちびきの登場です!!

(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

技術的には難しい内容が多いのですが、今使っているGPSの誤差が数十メートルなのに対して、みちびきは誤差数センチメートルに抑えることが可能なのです!!

センチメーター級測位と呼ばれる実証実験が多く行われていて、今回の記事で取り上げる実証実験もその一つです!

これまで”周辺”で終わっていたナビが今後は”目の前”まで案内してくれるようになります。

みちびきを利用したサービスの実証実験

それでは遂に今回の実証実験に触れていきます。

宇宙のプロモーションカンパニーを目指すminsoraがセンチメーター測位が可能となるみちびきを利用したサービスとして、『視覚障がい者お出迎えサービスと車椅子利用者介助サービス』の実証実験が行われました。

みなさん予想できましたか?

福祉での人工衛星の活用はいけだとしては発想が無かったので驚きましたし、いけだが勝手に抱いていたminsora社のイメージからも遠かったので、ダブルで興味が沸きました!

・測位補強サービスを用いた介助システム「B-SOS(Barrier-free SOS)」

・視覚障がい者歩行ナビゲーションシステム「あしらせ

この2つのシステムの実証実験が行われました。

それぞれのサービスの概要と今回の実証実験の内容を簡単に説明します。

測位補強サービスを用いた介助システム「B-SOS(Barrier-free SOS)」

B-SOS システムは、車椅子ユーザーが単独移動している際、思わぬ段差や側溝などにより身動きが取れなくなるという突発的な課題に対し、付近にいる事前登録した介助者がすぐに助けに行く仕組みです。
少しでも早く正確に介助を必要としている人の元に駆けつけることができるように、センチメートル精度の測位補強情報 CLARCS(クラークス)を使って提供します。
CLARCS は、「みちびき」が配信する高精度な測位補強情報(CLAS)を、従来の RTK 補正情報に変えてインターネット網を通じて配信することができるサービスで、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構により開発されました。

今回の実証実験では、植え込みで車椅子が脱輪してしまった、歩行路が上り坂で上がれない、お店の車椅子専用路に段ボールなどの障害物があって入店できないという3つの場面を想定した検証が行われ、社会福祉法人太陽の家の協力の下参加した車椅子ユーザーの被験者が、スマートフォンの専用アプリを使って SOS を発信すると、介助役として参加した大分東明高等学校の看護学生がそれぞれ 100m 地点、200m 地点、300m 地点で SOS を受信し、「みちびき」によるセンチメートル級の衛星測位システムによるナビゲーションで駆けつける実証が行われました。(minsora ニュースリリースより抜粋)

(提供:minsora)

B-SOSは車椅子ユーザーが困っているときにSOSを出して、その位置をみちびきのセンチメートル精度を活かして介助者に知らせるサービスです。

オンラインでの説明を聞いている時も、Uberとかタクシーの配車システムの車椅子版だと感じました。

ただ、従来のGPSではやはり数十メートルの誤差があるので、周辺までは近づけても個人の特定には他の付随情報が必要になるので、早く駆けつけて欲しい車椅子ユーザーには便利なシステムになるのでは無いかと思いました。

(提供:minsora)

B-SOSの実証実験当日の被験者として参加した社会福祉法人 太陽の家の車椅子ユーザー

(提供:minsora)

太陽の家の車椅子ユーザーと介助者として参加した大分東明高校衛星看護学科の学生

天気も心配されていましたが、無事に実証実験が実施できてよかったですが、当日のために、学生も車椅子ユーザーも時間をかけて準備をしてきていたそうで、笑顔の写真が見れたことは個人的に嬉しく思いました!

視覚障がい者歩行ナビゲーションシステム「あしらせ

「あしらせ」は、2021 年4月に設立された株式会社 Ashirase が取り組む、視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションシステム。
「みちびき」と測位補強システム SLAS を利用しながら、靴に装着したデバイスの振動により、聴覚を邪魔せずに誘導します。
視覚障がい者向けに特化した誘導情報の生成と、独自振動インターフェースにより、ユーザーは直感的にルート情報を把握することが出来るため、安全に余裕を持って歩行することが可能になります。

今回の実証実験では、社会福祉法人大分県盲人協会の協力の下参加した視覚障がい者が、およそ600m の距離を「あしらせ」のナビゲーションによる歩行で検証。
さらに、目的地付近まで到着することができても、目的地の建物の入り口が分からない、建物内の店舗まで行くことができないといった目的地付近における課題解決に向けて、目的地側が接近情報を受信し、入り口付近まで迎えに行き誘導する「あしらせお出迎え」サービスの検証も行われました。(minsora ニュースリリースより抜粋)

(提供:minsora)

「あしらせ」は視覚障害者向けのナビゲーションシステムなので、カーナビのように地図と音声での道案内ではなく、利用者の靴に専用のデバイスを装着して、曲がり角に差し掛かった時に曲がる方向のデバイスが振動して道を知らせてくれます。

視覚障害者にとって”音”は重要な情報になるので、外部からの音を得るために聴覚の邪魔をしない『振動』でのナビゲーションは凄いなと思いました。

(提供:minsora)

靴に装着する専用デバイスとアプリ

(提供:minsora)

あしらせの実証実験当日の被験者として参加した社会福祉法人 大分県盲人協会の方と介助者として参加した大分東明高校衛星看護学科の学生

こちらの実証実験も無事に成功し、今後の発展が期待されています。

あとがき

宇宙時代に突入して、ロケットや人工衛星が数多く打ち上がっています。

次は、この人工衛星からのデータを活用するフェーズで、さまざまなアイデアが事業化しています。

そんな中で、今回の実証実験は、センチメートル級の測位データのみちびきを活用した社会福祉のためのシステムです。

今までのGPSのみでは実現しなかったサービスが「みちびき」によって可能となり、利用するユーザーの利便性が向上するならば素敵なことです!

宇宙産業は技術の進化と、収益性の最大化、ユーザーの需要が大切だと思っています。

科学分野としての”宇宙”ではなく、産業分野として”宇宙”であるためには、利用する人の『声』が重要です。

今回は大分県での車椅子ユーザーと視覚障害者向けのシステムの実証実験でしたが、近い将来で日本全国で利用されて、世界中に発信ができたら素敵だと思います。

「宇宙×福祉」はいけだの頭の中に無かったので、今回の実証実験はとても興味深く、今後もminsoraの活動に注目していきたいと感じましたので、そのうち取材も申し込んで記事にしていきますので、みなさんお楽しみに!!

ホームページ

株式会社minsora:https://minsora.jp/