みなさんこんばんは。
宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です!
昨日、日本が誇る宇宙企業であるispaceがYouTubeで動画が配信し、ミッション2『Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON』の全貌が明らかになりました!
動画の配信が終わり、ミッションについてのリリースも発表されたので掲載します✨
YouTubeにカーカイブがあるので、こちらの動画もぜひご覧ください。
米国民間企業 Firefly Aerospace 社と同じロケットでの打ち上げ& 月面着陸までのマイルストーンや月面探査詳細など、ミッション全貌を公開
株式会社 ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下 ispace)(証券コード 9348) は本日、Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON(以下ミッション 2)の打ち上げが 約 1 か月後の、最速 2025 年 1 月中旬となる予定であることを公式 youtube で発表いたしました ので、お知らせします。
本日公開された動画では、先月打ち上げ場のある米国フロリダに輸送が完了し、打ち上げに 向けた最終準備中の RESILIENCEランダーについて、最新の打ち上げ予定時期が約 1 か月後の 最速 2025 年 1 月中旬(6 日間の打ち上げウィンドウ)となることに加え、同じ Space X 社の Falcon 9 ロケットで、同様に月面探査を目指す米国の民間企業である Firefly Aerospace 社(以 下 Firefly 社)と共に打ち上げられる旨が発表されました。1つのロケットに月面探査を目指す 民間企業 2 社が共に打ち上げられるのは史上初であり、月面探査における歴史的瞬間となりま す。
今後、最終的な打ち上げの日時は、Space X 社と Firefly 社の間の協議を踏まえ、最速1月中 旬までの間に確定次第、詳細をお知らせする予定です。なお、ispace のミッション2は、ミッ ション 1 同様に低エネルギー遷移軌道を使い 4~5 か月後に月面着陸を予定しており、今回の Firefly 社のミッションは、同社の発表によれば、計画通りに進めばおよそ 45 日後に月面に到達 するとのことです。
■ 着陸までのミッション 2 マイルストーン及び月面探査について
また、今回 ispace は 2022 年に打ち上げたミッション 1 同様に、ミッション 2 で RESILIENCEランダーが月面着陸に再挑戦するまでの 10 段階のマイルストーンを公開いたしました。ミッシ ョン 1 で打ち上げたランダーは各マイルストーンを順調にこなし、初挑戦で 8 つのマイルストー ンを達成し、ハードウエアの構造設計や軌道制御マヌーバ等を通じた良好なパフォーマンスを 実証することができました。ミッション 2 では、惜しくも成功とはならなかった 9 および 10 個 目のマイルストーン達成を目標に、ミッション 1 で得たデータやノウハウを全てフィードバック した RESILIENCE ランダーが月面着陸を目指します。着目すべきは 5 番目のマイルストーンに 設定されている「月フライバイの完了」で、今回のミッションで初めての挑戦となります。
(提供:ispace)
マイルウストーン | クライテリア | |
Success 1 | 打ち上げ準備の完了 | ・RESILIENCE ランダーすべての開発工程を完了 ・打ち上げロケットへの搭載が完了 ・世界の多様な地域で柔軟にランダーを組み立てること が出来る能力の実証 |
Success 2 | 打ち上げ及び分離の 完了 | ・ロケットからランダーの分離が完了 ・ランダーの構造が打ち上げ時の過酷な条件に耐えられ ること、および設計の妥当性を再確認するとともに、 将来の開発・ミッションに向けたデータを収集 |
Success 3 | 安定した航行状態の 確立 | ・ランダーと管制室との通信を確立し、姿勢の安定を確 認するとともに、軌道上で安定した電源供給を確立 |
Success 4 | 初回軌道制御 マヌーバの完了 | ・初回の軌道制御マヌーバを実施し、ランダーを予定軌 道へ投入 |
Success 5 | 月フライバイの完了 | ・打ち上げ約 1 か月後に、月フライバイを完了 ・深宇宙航行を開始 |
Success 6 | LOI 前全ての深宇宙軌道制御マヌーバの 完了 | ・太陽の重力を利用した全ての深宇宙軌道制御マヌーバ を完了し、月周回軌道投入マヌーバの準備を完了 ・ispace の深宇宙におけるランダー運用能力と、航行軌 道計画を再実証 |
Success 7 | 月周回軌道への到達 | ・最初の月周回軌道投入マヌーバによるランダーの月周 回軌道投入の完了 ・ランダーとペイロードを月周回軌道に投入する能力を 再実証 |
Success 8 | 月周回軌道上でのす べての軌道制御マヌ ーバの完了 | ・着陸シーケンスの前に計画されている全ての月軌道制 御マヌーバを完了 ・ランダーが着陸シーケンスの開始準備が出来ているこ とを実証 |
Success 9 | 月面着陸の完了 | ・月面着陸を完了させ、今後のミッションに向けた着陸 能力を実証 |
Success 10 | 月面着陸後の安定状 態の確立 | ・着陸後の月面での安定した通信と電力確保を確立 |
さらに、ミッション 2 で ispace は、中長期的に目指すシスルナ経済圏の構築を推進する上で 重要施策となる、資源探査の初期的な取り組みを、当社欧州法人にて自社開発した TENACIOUS (テネシアス)ローバー(月面探査車)を用いて実施いたします。 月面着陸後に RESILIENCE ランダーの安定状態を確立し、地上局との回線を確保すると、ランダーは搭載しているペイロ ードの運用を開始します。TENACIOUS ローバーはここで月面展開され、新たな経済圏構築の第 一歩につながる月面の自律走行、搭載カメラでの撮影、ムーンハウスのペイロード展開、およ び月のレゴリス採取などの月面探査を行います。
(提供:ispace)
■ ミッション 2 の月保険について
ispace は 2022 年に実施したミッション 1 において、世界初の月保険の契約を三井住友海上火 災保険株式会社(以下 MSI)と契約ました。当該保険は、将来に向けて持続安定的な月ミッショ ンを民間企業が実現することを支える目的で MSI と当社により共同で開発され、ispace は第一 号案件となりました。実証段階フェーズと位置付けるミッション 2 においても、ミッション運用 中のリスクを軽減させるため、当社は MSI と新たに月保険を締結することを発表しました。 保険内容は以下の通りとなります。
保険責任期間 | 打ち上げ~高度 100km の月周回円軌道上までの軌道制御 確認完了まで |
保険金額 | 2,160,840,000 円 |
契約締結日 | 2024 年 12 月 20 日(予定) |
■ MSI 企業マーケット戦略部 宇宙開発チーム長 濱村康介氏のコメント
「2023 年から 2024 年に亘り複数の宇宙ミッションにおける大型事故が発生し、それに伴う 多額の保険金の支払いが発生した影響から、国際宇宙保険マーケットでは、引受に対する厳格 化が進んでいます。ミッション 1 の月保険を組成した 2022 年と比較してマーケット環境がハー ド化している係る状況においても、ミッション 1 の実績を考慮した保険責任期間を設定すること で、ispace のミッション2を補償する月保険を組成することができました。
本月保険の組成ができたことは、一定水準の技術実証を示すことができたミッション1の実 績も然ることながら、ミッション 1 以前から ispace の月面着陸・探査ミッションに関する情報 を国際宇宙保険マーケットに丁寧に伝えて相互理解を深めてきたこと、そして月面着陸・探査 ミッションを技術的な観点から十分に精査して当社の有する宇宙保険のノウハウを融合させた 結果であり、ispace へのマーケットからの一定の信頼性を示す好事例であると考えております。
当社は引き続き ispace を含む月面開発を企図している事業者への月保険の提供を行うこと で、宇宙産業のさらなる発展に貢献していきたいと考えております。」
ispace は、日・米・欧の 3 法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1 つの統 合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。最速 2025 年 1 月中旬に日本法人 が主導するミッション 2、続いて 2026 年には米国法人が主導するミッション 3 を順次実行して いく計画です。また、2027 年には、現在日本で開発中のシリーズ 3 ランダー(仮称)を用いた ミッション 6 を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるた め、ispace はミッション 3 およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサ ービスを提供してまいります。
◼株式会社 ispace 代表取締役 CEO & Founder 袴田武史のコメント
「およそ 1 か月後に打ち上げを予定していることを本日お知らせすることができ、いよいよ近 づいてきた月への再挑戦に胸が高鳴っています。ここまで、従業員や株主、パートナー企業の 皆さまと共に鼓舞激励しながら開発を進めてまいりました。 世界中の機関や企業、プロジェク トが月を目指している中で、ispace は世界を牽引しシスルナ経済圏構築のための価値創造を絶 え間なく続けていくため、ミッション 2 で更なる実績を積み上げたいと思います。ぜひ、ご期待 ください。See you on the Moon!」 ◼
株式会社 ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセ ンブルク、アメリカの 3 拠点で活動し、現在約 300 名のスタッフが在籍。2010 年に設立し、 Google Lunar XPRIZE レースの最終選考に残った 5 チームのうちの 1 チームである「HAKUTO」 を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のラ ンダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネス を行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月デー タビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022 年 12 月 11 日には SpaceX の Falcon 9 を使用 し、同社初となるミッション 1 のランダーの打ち上げを完了。続くミッション 2 の打ち上げは最 速 2025 年 1 月中旬i に、ミッション 3 は 2026 年ii 、ミッション 6 は 2027 年にiii 打ち上げを行う 予定。
ミッション 1 の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データ サービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション 1 マイルストーンの 10 段階の内 Success8 まで成功を収めることができ、Success9 中においても、着陸シーケンス中 のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得する ことに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション 2 へフィードバ ックされる予定。更にミッション 3 では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によって NASA が行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
◼HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について
HAKUTO-R は、ispace が行うミッション1およびミッション2を総称する、民間月面探査プ ログラム。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月 面探査の2回のミッションを行う。SpaceX の Falcon 9 を使用し、2022 年にミッション1(月 面着陸ミッション)のランダーの打ち上げを完了。最速 2025 年 1 月中旬 iv にミッション2(月 面探査ミッション)の打ち上げを行う予定。
オフィシャルパートナーである株式会社三井住友銀行により命名された Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”には、新たな始まりやチャンスの意が込められている。
HAKUTO-R はオフィシャルパートナーとして株式会社三井住友銀行、コーポレートパートナ ーとして、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチ ズン時計株式会社、 スズキ株式会社、 高砂熱学工業株式会社、 SMBC 日興証券株式会社、 Sky株式会社、Epiroc AB、株式会社ジンズ、栗田工業株式会社が参加している。
i 2024 年 12 月時点の想定
ii 2024 年 12 月時点の想定
iii 2024 年 12 月時点の想定
iv 2024 年 12 月時点の想定
あとがき
今回のispaceによる発表では、「HAKUTO-R」ミッション2の打ち上げが最速2025年1月中旬に予定されていることが公表されました。
これは、民間企業が月面探査を目指す新たな挑戦であり、歴史的な意義を持つ試みです。
特に、米国のFirefly Aerospace社と同じロケットに搭載されるという点で、国際的な協力が新たなステージに進んでいることを象徴しています。
注目すべきは、ispaceが目指す「シスルナ経済圏」の構築。
この取り組みは、月を拠点とした新たな産業やビジネスの創出を目指し、私たちの未来を宇宙に広げる一歩となるものです。
また、同社独自のランダー「RESILIENCE」や探査車「TENACIOUS」が、月面着陸と探査というミッションを通じてどのような成果を上げるか、多くの期待が寄せられています。
「HAKUTO-R」ミッション1で得られたデータや経験を活用し、ミッション2ではより大きな成功を目指すとともに、新しい挑戦である「月フライバイ」や「月面探査」にも取り組む姿勢が魅力的です。
宇宙産業が急速に発展する中、ispaceの挑戦は私たちに希望と未来の可能性を感じさせてくれるものです。
「月への再挑戦」というispaceのメッセージには、技術革新と協力によって未知の領域を切り拓く情熱が込められています。月の未来を変えるこの挑戦に、ぜひ注目していきましょう!