みなさんこんばんは⭐️
宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。

今回は宇宙イベントのSpaceLINKを主催していたり、民間宇宙ステーションを目指していたり、宇宙ステーションで用いるライフサイエンス実験装置を開発していたりと幅広く宇宙ビジネスにアプローチしているデジタルブラスト社の堀口代表にインタビューしました!

前から知っている人も多いかとは思いますが、「デジタルブラストってどんな会社なの?」、「何をやっている会社なの?」と思う人がいたらぜひこの記事を読んでほしいです!

堀口代表に詳しくお話し聞かせていただいたので、デジタルブラスト社の魅力が感じられると思いますよ✨

(提供:デジタルブラスト)

インタビュースタート!

(いけだ)
よろしくお願いします!
まず、一段と盛り上がりを見せて来ている宇宙ビジネスの全体感について堀口さんの見解を聞かせていただきたいですね。

(堀口さん)
現状と今後に分かれていくんですが、現状としては宇宙輸送の分野に紐付くビジネスや人工衛星に紐付くビジネスが規模の大きな領域になっています。
今後は人工衛星については低価格化が進んで、人工衛星の製造点数や打ち上げ回数がどんどん増えて、さらに低価格化が加速度的に進んでいく状況になっていくと思います。

一方で、アルテミス計画が進んでいるので月面関連の民間企業も一部出てくると思います。
ただし、月面関連はいわゆる官需で基本的には政府側の規模に応じたマーケットにしかなりません。ここ5年くらいは変わらない見通しですね。
月面開発とは別に盛り上がってきそうなので、当社も携わっているのがポストISSという宇宙ステーション関連領域です。
各国協力のもとスタートした国際宇宙ステーション(ISS)が2030年で終了してしまうので、今後は民間主体になっていく計画なんです。
この民間宇宙ステーション関連がマーケットとしてどんどん大きくなっていく可能性が非常に高いと思っています。
理由としては、民間宇宙ステーションは宇宙旅行や人の生活に関わるようなサービスなどが関係してくるので、通常の企業が参画しやすくなっていきます。
だからこそ、宇宙ステーションのマーケットは大きくなっていくと予想しています。

(提供:デジタルブラスト)

(いけだ)
ありがとうございます。
「宇宙は好きで興味はあったけど、最近盛り上がってるし産業としてチャレンジしたいなー」と思っている企業や人は人工衛星関連に参入するよりも、宇宙ステーションや宇宙旅行などの人が関係するサービスの分野に参入していく方がチャンスがありそうですか?

(堀口さん)
参入の仕方にもよってはくるんですが、例えば生活雑貨関連の企業だった場合の宇宙ステーションの滞在者のマーケットって10人くらいなので、“宇宙ステーションに行く人”を対象にして売買することで儲けられるような大きいものではありません。

ただし、『宇宙空間というマーケットに進出する』ということが重要な意味を持つ可能性はあります。
宇宙産業は誰にでも簡単にできることではなく、開発のコストや制約などが出てきます。
宇宙空間での人の動作のUXを理解して組み込める企業や、ニッチな領域でも社会的意義に貢献できればある程度アイデア勝負で宇宙を使って上手くブランディングして、地上でのマーケティングに成功するようなケースは生まれてきやすいんじゃないかと思っています。

(いけだ)
ありがとうございます。
デジタルブラスト社が推し進めているライフサイエンスの領域の研究が今後の宇宙開発にとって重要な理由を教えてください。

(堀口さん)
その理由は物凄く単純で、『宇宙に人が行く』からです!
これまで宇宙に行っていたのは、毎日トレーニングをして毎日健康管理をしっかりとされている『超人』の宇宙飛行士さんたちでしたが、今後は我々のような一般の人たちが宇宙に行く可能性がある中で、宇宙での安全性や人体に関してのリスク回避など自ずとライフサイエンスの領域が重要になってきます。
人がいる以上、衣・食・住と医療の分野が発展していくことになります。

(いけだ)
言われてみるとスッと納得できちゃいますね!
最近は宇宙についてのニュースがテレビで流れたりしているので一般の方々の関心が高まってきているんだと実感するんですが、宇宙に行くことについては『怖い』という意見がまだ多いと感じています。
宇宙は地球上と比べると死と隣り合わせの空間ですし、安全に行けるか分からないから宇宙旅行って聞いても不安が残るという意見も聞いたことがあります。
そういう人たちに安心してもらうためにもライフサイエンスの領域の研究が重要なんだなと感じました。

私もそうだったんですが、ライフサイエンスって言葉が馴染みがない人もいると思うので、デジタルブラストが取り組んでいるライフサイエンスの領域について実際どんなことをやっているんですか?

(堀口さん)
デジタルブラストが目指しているのは最終形なんです。
もし、地球に住めなくなって移住しなければいけない場合に太陽系の中で火星が候補として上がっていて、世界の色んな国で計画が進められていますが、実際にはまだ人が住める状況ではないんです。
そんな火星に移住しなければいけない場合は、テラフォーミング(惑星の地球化)する必要があるので、その技術を作っていきたいと思っているんです。

とはいえ、自分たちだけでやっていけるとは考えていないので、この分野の研究者の方や企業に、今まで国の研究機関が保有しているような設備をもっと簡易的にした、使いやすい実験装置を提供しようとしている企業がデジタルブラストです。

(提供:デジタルブラスト)

(いけだ)
なるほどですね!
まずはたくさん実験をしてもらって、「一緒にテラフォーミングできる技術を積み上げていきましょう!」ということですよね!

(堀口さん)
そうです!
なるべくたくさん実験装置を使ってもらわないと実験結果なんて出ないですし、デジタルブラストだけで最先端部分をやろうと思っても量が多すぎて無理なんですよ。
一社でどうにかするようなことではないので、みんなが使える環境を整備しています。

(いけだ)
以前から「何で実験装置をやっているんだろう?」って思っていたんですが、この話を聞いて理解できました。
テラフォーミングするためにはまずその技術を培うための第一歩として実験装置を使ってたくさん実験を繰り返す必要がありますもんね。

(堀口さん)
おっしゃる通りなんです!!
もちろん、デジタルブラストとしても実験をしたり論文を書いたりしてはいるのですが、やっぱり時間はかかってしまうし、みんなでやっていかないと意味がないと思っているので、そのための仕掛けなども行っています。

(いけだ)
環境を提供する会社ってことですね。
不動産ビジネスのように、実験装置=ビル を作ってみんなに使ってもらって、ゆくゆくは火星を住める環境にして人々に提供していくんですもんね!
堀口さんの説明で結構スッと理解できたんですが、テラフォーミングしていくのはかなり先のお話かと思うのですが、もっと手前の目標などあったりしますか?

(堀口さん)
テラフォーミングの手前として着目していることの1つは医療分野です。
宇宙空間では地上に比べて老化が早いんです。
筋肉が衰えたり、骨の密度が粗くなってしまったりということがあるのですが、地上では宇宙と同じ環境を作ることが難しいので、老化現象の研究を積極的にやっていこうと思っています。
そのための創薬やビジネスをデジタルブラストで創っていきたいと思っています。

(いけだ)
めちゃくちゃ大事なことですね。
宇宙に行きたいけど、老化が進むなら普通に考えて行きたい人いませんもんね。。。

(堀口さん)
そうなんですよね。
この老化現象については起因する遺伝子の特定や、ゲノムレベルでの解析で、細胞レベルでの活動の中で、宇宙で筋肉が衰える原因、骨の密度が粗くなる原因を突き止めて、宇宙に進出する際に予防することができるのではないかと思っています。

また、地上でもそういった老化現象の因子を避けることができる薬を作ることが我々の目指している姿です。
他にも解析技術は地上で発展しているので、宇宙空間に持っていくことでさらに進む可能性はありますね。

(いけだ)
素朴な疑問なんですが、高齢で宇宙に行ったらどんどん寿命が短くなるってことですか?

(堀口さん)
そうとは言い切れません。
老化現象と言っても一部的なもので、死に起因するような老衰と呼ばれる現象と紐づいているかは分からないですね。
仮に筋肉や骨が衰えたとしても、それと寿命がイコールではないのでちょっと難しいところですね。

(いけだ)
確かにちょっと難しいですが、寿命が短くなるとは限らないってだけでも私は少し安心しました!
でも、老化現象が予防できないと宇宙に行ったら骨がスカスカになって、地上に戻ってきてからのリハビリとか治療が必要になるなら気軽には行けませんもんね。
医療も惑星開発も民間宇宙ステーションも手がけていくとなると、『宇宙の研究開発会社』って括り方になるんですかね?

(堀口さん)
そうですね。
いかに宇宙に人が住めるようになるかを考えている会社ですね!

 (いけだ)
デジタルブラストがどんな会社かイメージが湧いてきました!ありがとうございます。
宇宙ステーションをやっていく御社に聞いてみたかったんですが、我々が宇宙に行くとなると月や火星よりも低軌道にあるような宇宙ステーションなんだと思っているんですが、ガンダムなどに出てくるようなステーションの大きいバージョンのような『コロニー』って実現するんですかね?

(ChatGPTによるコロニーのイラスト)

(堀口さん)
技術的には実現可能だと思いますよ。

ただし、コロニーは重力を発生させるために回転することが必要です。ですが、今のところその重力を発生させる機器は無いはずなので研究開発が必要になるとは思います。
人が住むための環境として、酸素や水などの循環系の機能は完成しているので後は重力ですね!

(いけだ)
じゃあISSの大きいバージョンのようなたくさんの人が滞在できる大型施設的なものは今の技術で完成させられるってことですよね?

(堀口さん)
そうですね。後はお金次第だと思います!
大きいものを作れるほどのお金があれば出来ると思います!笑
民間の宇宙ステーションは2035年頃には年間で10人以上が滞在していることになると思いますよ。
コロニー的なものは2040年、2050年頃になるかと思います!

 (いけだ)
民間宇宙ステーションもですが、最近話題になりやすい月面開発などでも地球と変わらない環境で、医療的にもライフサイエンス的にも安全が保証されたら宇宙に行く人って増えていきそうですね!

(堀口さん)
そうだと思います!

ただ、実は難しい部分もあって、まずは月面に人を送り込む理由が難しいと思っています。
月面基地の開発は行うはずですが、人がやらなくても無人ロボでできるはずなので安全面など考慮するとロボットの方がメリット大きいですね。
それに、月面に滞在できる期間は3日か4日だったはずです。

(いけだ)
えっ!?そうなんですか?
そんなに短い期間なら尚更月面開発なんて長期的な計画を実行するのは難しいですね。

(堀口さん)
月には大気が無いので放射線をモロに浴びてしまうので、被曝の量が増えてしまい、白内障やガンのリスクが上がってしまうんですよ。
なので滞在できる期間には制限がありますし、気軽に行ける場所ではないということはしばらくの間は変わらないと思うので、月面に長期間滞在するのは簡単ではないと思いますよ。

(いけだ)
そうだったんですね。。
月って憧れている人も多いと思うんですよね。
地球から月を見上げる文化って世界中にありますし、月に思いを馳せているんだと思うのですが、実際の月面は物凄く過酷な環境なんですもんね。

(堀口さん)
月面での滞在は簡単では無いですが、GateWayができるのでそこでの滞在になるんだと思いますよ。 

(いけだ)
これまでに月面に人間社会を作るようなワークショップなどに参加したりすると、色んな人のアイデアにワクワクしていましたが、リアルな過酷な環境を考えると”住むべき場所では無いんだな”って思っちゃいますね。

(堀口さん)
そうですね。
池田さんとしては残念でしょうが月面に住むのは難易度が結構高いと思いますよ。

(いけだ)
そうなるとやっぱり宇宙ステーションが現実的に手が届きそうな夢になりますかね!

(堀口さん)
そうですよ!
宇宙ステーションは地上400kmくらいなんで東京から大阪に行くようなものですから、日帰りで行けちゃう距離ですよ!

(いけだ)
地球に住む人にとってそれくらい身近で手軽な場所になるといいですよね♪
そのためには、ロケットや宇宙ステーションも大事なんでしょうが、デジタルブラストが手がけているようなライフサイエンスの分野がより重要になってきますね。

(堀口さん)
そうですね。
宇宙のライフサイエンスの分野は人間には必要ですし、発展性もありますし、面白いんですよね。
まだまだ未解明なことが多いので、「どんなメリットがあるの?」とか「そこに投資する意味あるの?」と言われてしまうこともあるのですが、1G(地球上の環境)ではなく、無重力、微小重力環境で実験することによって、地球上では見つけられないような変化がたくさん出てくると思っています。
今まであまり実験されてこなかったからこそ、もっとお金をかけて切り開いていくべき領域だと思っています。
宇宙空間での健康や、人類が生存していくことが重要であるならば、科学の発展のために使うべきだと思っています!!!

(いけだ)
おっしゃる通りですよね!!!
スタートアップへの支援や、ロケット開発への投資など宇宙開発にかける政府予算が拡大してきているイメージはあるんですが、ライフサイエンスの分野やISSでのタンパク質の実験など宇宙を専門にしていない人たちからすると『わからない』分野なんですよね。
でも、そういった事をやってくれないと、いつまで経ってもその恩恵を受けられないんですもんね。

(堀口さん)
政府予算はもっと振り切っちゃって欲しいですけどね!笑
昔は国が産業を発展させるためにバンバン鉄を買っていたり、土地開発をするために多額の補助や制度を作ったりしていたので、それと同じように『ライフサイエンス研究には科研費(科学技術研究費)がたくさん出る』とか、『宇宙を活用すればそれにかかる打ち上げや安全審査などの費用は全て国が負担する』くらいやってくれれば産業として大きく発展すると思うんです。
でも今は、「民間で動いてもらえると有り難い」的なスタンスなので十分な勢いになっていないと思っています。


ライフサイエンス分野が進んでいかない理由の一つに、人間の体を編集できるくらいゲノム解析はできているんですが、リスクの方ばかりに焦点が集まり適切なお金のかけ方ができていないと感じています。
日本の仕組みとしてよく分からないものにお金をかけるくらいならライフサイエンスに限らずですが、科学分野にもっと予算をかけて国として本気で進めていくことが未来のためなんだと思います。

 

(いけだ)
そうですよね!
科学分野が発展すると学生がもっと増えるはずですしね!

(堀口さん)
そうです!
『未来に投資する』スタンスが見えれば子供がもっと生まれるんだろうなと思います。

(いけだ)
今は宇宙関連が盛り上がってきているので、宇宙を学ぶ意思のある小中高、大学生が増えてきていると思うのですが、実際に宇宙を学んでも宇宙系の就職ができずに機械系の企業に就職するようなことも多かったと思います。
ライフサイエンスや科学者の分野も同じだと思っているので、研究機関や創薬メーカーなど選択肢が多くなければ、難しい科学分野を学ぼうと思う人も減ってしまうと思うんですよね。。。
だったら国がイメージ戦略として科学分野に力を入れていることをテレビなどのメディアからでも伝わるくらいアピールしてくれれば時代が変わりますよね。

(堀口さん)
そうです!
あとはグローバルにもっとアピールして欲しいですね!
日本としてもっと変わっていくことに期待しています!

(いけだ)
じゃあデジタルブラストのライフサイエンス分野での取り組みが科学者の間で認知されて色んな研究が進めば、テラフォーミングの技術が加速してさらに世界中からの憧れになったり、ライフサイエンス分野ので成功のモデルケースが生まれれば起爆剤になると思うんです!

(堀口さん)
そうですね!
まずは自分たちでリスクをしっかりと把握しながらもガンガンと切り開いていく雰囲気を作って、社会を動かしていきたいと思っています!!

(いけだ)
宇宙のライフサイエンス分野の先駆者にデジタルブラスト、堀口さんがなってくれるわけですね!
ますます注目させていただきます!
今日はありがとうございました!

あとがき

個人的には民間宇宙ステーションのイメージが強かったデジタルブラストですが、堀口代表と対談してライフサイエンス分野への熱量をすごく感じました。
科学分野なんてからっきしの私にとっては難しさのイメージも湧きませんが、健康面や人類が生存していくために欠かせない研究なら堀口さんが言っているようにもっと発展して欲しいですね。

もっと自由に宇宙を楽しむためには、誰もが気軽にそれこそ「ちょっとそこまで」の感覚で宇宙に飛び出せるような安全面の保証と手軽さが必要ですよね。
この記事を読んでくれている科学系の学生の皆さんはデジタルブラストのHPはチェックした方がいいですよ!!

デジタルブラスト社の情報

ホームページ:https://digitalblast.co.jp/

X株式会社DigitalBlast:@DigitalBlastInc

YouTubeスペース・コラボ | Space Collaboration@SpaceCollaboration

note:株式会社デジタルブラスト:https://note.com/digitalblast

SPACE Mediahttps://spacemedia.jp/

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今回対談させていただいた堀口代表が書籍を出版しました✨
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宇宙実験が拓くライフサイエンスの最前線

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日 時 :2024年8月19日(月)18:00~20:00
場 所 :X-NIHONBASHI TOWER
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登 壇 :谷口 英樹 氏/ 堀口 真吾 氏/ 榎本 麗美 氏(モデレーター)
参 加 :無料(事前登録制)※先着順
主 催 :株式会社デジタルブラスト
協 力 :総合法令出版株式会社 / 株式会社デジタルブラストコンサルティング

◆プログラム(予定)
17:30     開場・受付開始
18:00~19:00 プレゼンテーション・パネルディスカッション(質疑応答含む)
19:00~20:00 懇親会
20:00     閉会
※プログラムは都合により変更になる場合がありますので予めご了承ください。

こんな方にお勧め!
・宇宙環境を利用した学術・研究に携わっている方
・宇宙利用ビジネスに取り組んでいる、興味関心がある方
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◆関連書籍
『スペース・トランスフォーメーション 人類の生存圏が拡大する時代に向けて』について

【書籍概要】
著者  :堀口真吾(株式会社DigitalBlast 代表取締役CEO)
価格  :1,500円+10%税
発行  :2024年7月
仕様  :四六判、240ページ
発行  :総合法令出版
ISBN  :9784862809568
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4862809561