みなさんこんばんは⭐️

宇宙ビジネスMEDIMA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です!

以前からTwitterで活動は知っていたのですが、いけだが名古屋大学の「民間による宇宙利用 短期集中コース」に参加していたのをきっかけに取材の申し込みをしてみた、名古屋大学公認サークルのNAFTに色々と聞いてみました!

NAFTのモットーの「宇宙を身近に」は宇宙ビジネスMEDIAも同じ気持ちなので、普段は目に触れづらい大学のサークルの活動内容をお届けします!

今回取材に応じてくれたのは、NAFTの代表とそれぞれのプロジェクトのプロジェクトマネージャー3名の合計4名にお話を聞きました。

飯田さん(左下)

チームNAFT代表

名古屋大学 工学部 機械航空宇宙工学科


山岡さん(左上)

チームNAFT副代表 ロケット班プロジェクトマネージャー

名古屋大学 工学部 物理工学科


川瀬さん(右下)

スペースバルーン班プロジェクトマネージャー

名古屋工業大学 電気機械工学科


山田さん(右上)

宇宙教育班プロジェクトマネージャー

名古屋大学 工学部 電気電子情報工学科


NAFTのプロジェクトは他にもあるのですが、今回参加してもらった代表の飯田さんからは全体的なお話ロケット班プロジェクトマネージャーの山岡さんからは自作しているハイブリットロケットのお話スペースバルーン班プロジェクトマネージャーの川瀬さんからは成層圏へ飛ばす気球のお話を、宇宙教育班プロジェクトマネージャーの山田さんからは科学館などで開催されるイベントのお話を伺いました。

今回も対談形式でお届けします!

インタビュースタート!

 (いけだ)

まずは、NAFTがどんな活動をされているのか教えてください!

(飯田さん)

NAFT「Link Space 宇宙を身近に」というモットーのもとに、一般の方により宇宙を身近に感じてもらえるような活動をしています。

その活動の具体的な部分として、ハイブリットロケットの打ち上げや、スペースバルーンの打ち上げ、たくさんの方に宇宙のことを知ってもらうための宇宙教育活動などを行なっています。

(いけだ)

NAFTは学生団体ってことであっていますか?

(飯田さん)

そうですね。

名古屋大学の公認サークルとして活動しているので、毎年メンバーの入れ替わりがある団体です。

(いけだ)

毎年恒例のイベントってありますか?

(飯田さん)

ありますよ!

ロケット班は半年に1回のロケットの打ち上げを行なっていますし、スペースバルーン班も決まった時期ではないですが、毎年打ち上げを行なっています。また,教育班も毎年参加させてもらっているイベントがあります。

(いけだ)

イベントがあるなら定期的な情報発信のお手伝いはできると思います!

私が学生団体について詳しくはないので、活動していく上での大変な部分などあればお聞かせください。

(飯田さん)

そうですね。まずは予算面としては、サークルメンバーから部費という形で集めて、それをそれぞれのプロジェクトに分配しています。

それ以外にも、協賛頂いている企業が複数あるので、そこからの支援で全体を運営していますが、どうしても部費としての負担が大きくなってしまっているので、少し厳しいのが実情ですね。

(いけだ)

そうですよね。

自費メインでのプロジェクト運営ってかなりシビアだと思うので、せっかくだからこの場で協賛企業になってもらうべくアピールしちゃいましょうよ!!

(飯田さん)

いいんですか?

じゃあ、それぞれのプロジェクト毎に話した方がいいと思うので、プロジェクトマネージャーよろしくお願いします!

(川瀬さん)

では、スペースバルーン班からお話しさせていただきます!

スペースバルーンでは成層圏まで打ち上げた気球から宇宙っぽい”写真が撮れるので、協賛企業と協力して打ち上げることで、企業のロゴを置いて撮影すれば、リターンとして広告に使える素材を提供することができます!

カメラの前にロゴを載せたアクリル板を置き、地球と宇宙をバックに映像を撮影できます。

(提供:Earth Light Project)

 Earth Light Project:NAFTが現在参加している学生プロジェクト。成層圏に炎を掲げることを目的に活動している。(HP:https://earth-light-project.com/

(いけだ)

なかなか撮影できない写真ですもんね!

宇宙と地球を背景にできるってレアすぎますね!

(山岡さん)

ロケット班もバルーン班と似てくる部分はありますが、協賛いただいた企業のロゴを機体に貼り付けて打ち上げるということは過去にもやっていますね。

ロケットとしては、ペイロードと呼ばれる物を運ぶって役割が根本にあるので、様々な実験装置を載せてデータを取ったり、記念品を載せて打ち上げたりできるので、リターンとしては、ロケットへのロゴの貼り付けと、ペイロードとして好きなものを打ち上げられることです。

(いけだ)

ロゴの貼り付けならインターステラテクノロジズもやっていますし、協賛企業としてもイメージ湧きやすいかもですね!

ペイロードは企業として何を載せるか悩みますねー。

個人的には、一般の方から「空に打ち上げたい声」として、夢や希望の詰まったものと、ストレス発散の怒りをぶつけるのと2パターンのイベントをやってみたいなって思いました!笑

協賛企業むけではないですけどね!汗

(山田さん)

宇宙教育班としては、イベントの時に作る工作キットに企業の名前を入れたりしたことがあります。

違うアプローチとしては、企業がイベントを開く時に呼んでいただければ、宇宙関連のイベントを行うこともできます。

主に小学生~中学生を対象に、宇宙に関するクイズ、ゲームなどを行うことができます。

長距離移動は難しいのですが、愛知県に隣接している地域へなら実際に向かえます!

(いけだ)

オリジナルの宇宙イベントが開催できるのは魅力的ですね!

オンラインでのイベントが増えている時代なので、結構柔軟にプランニングもできそうですよね!

みなさんありがとうございます!

みなさんが担当しているプロジェクトの魅力や推しどころってのを教えてください!

(川瀬さん)

スペースバルーン班からいきます!

バルーンは打ち上げるための法律面がとても厳しくて、飛行機が高度1万メートルを飛んでいるのですが、そこを通過するので国土交通省や、海に物が落下するので海上保安庁に自分たちでしっかりと申請してから打ち上げる必要があるので、法律チームを作って打ち上げる上での安全性や信頼性を高めて運営しているのが特徴になります。

もちろん、成層圏でも稼働するシステムの開発などの技術面にも力を入れていますが、法律面への対応はあまり表に出ないのですが、重要なポイントなので特徴と言えると思います!

おそらく、法学部でもここまでかっちりとした申請は行わないと思うので、それを経験できるのも魅力だと思っています。

今、技術的に挑戦しているのが『地上と成層圏とのリアルタイム通信』です。

成層圏が高度30kmくらいにあるのですが、成層圏の温度や湿度、気圧、位置情報データをリアルタイムで地上に送信することで、もしデータがSDカードに保存されていなくても地上でデータを取得できるようになります。

宇宙での実績はたくさんあるのですが、成層圏はちょうど中間層に位置付けるので、これまで成層圏と地上でのデータ通信の実績があまりないんです。

成層圏は学生にとっても宇宙よりは目指しやすい場所なので挑戦しています。

あと、来年の春に『成層圏の放射線量測定』のプロジェクトを他の団体と協力して進めています!

オゾン層よりも上に位置する成層圏の放射線量がどうなっているのか、可能ならオゾン層の量も測定することで、そこの相関関係も見えてくると思っています。

この3点に力を入れてスペースバルーン班は進めています!

(提供:NAFT) 

(いけだ)

盛り沢山な内容ありがとうございます!

スペースバルーンって私もあまり触れてきていなかったので、珍しいなと感じているのと、貴重な分野だなって思っています。

宇宙開発であまり触れられていない部分だとも思うので、目を引くと思っていますし、お話し聞いていて私自身も新しい学びでした!

(山岡さん)

ハイブリットロケットとモデルロケットを使って様々なミッションを行なっているロケット班ですが、最近では主にハイブリットロケットの開発に力を入れています。

(提供:NAFT)

 NASAやJAXAのような、宇宙への移送手段として打ち上げられているロケットは、液体ロケットが主流で、ハイブリットロケットというものがあまり認知されておりません。ロケットは燃料によって”固体ロケット”、”液体ロケット”、”ハイブリットロケット”に分けられるのですが、ハイブリットロケットは他のロケットに比べて燃料の保管の点で、安全性が高いので、他の学生団体でも良く作られています。

ハイブリットロケットは小型機を安全に開発できて、色々と学べますし、プロジェクト全体を把握できる規模感なので、機体製作についても学べますし、打ち上げも他の大型ロケットに比べて簡単ではあるので、自分たちで様々なミッションを考えて試すことができます!

特にアピールしたい点としては、『空力解析』を積極的に行なっていて、できるだけ抵抗の少ないロケットの形状を計算して設計したり、それらを根拠にした機体制御を行なっているのは珍しいと思っています。

例えば、フィンを使ったロール制御ですが、これは学生団体として初めて、設定した目標に対して成功を残しています。

他には、人工衛星でよく使われる、機体の中で重たい物を回転させ、その反動で向きを制御する技術の『リアクションホイール』をロケットに使ったことがあります。

空力解析による抗力の少ない機体の設計や、機体の姿勢制御がロケット班の強みです!

他にもペイロード搭載のミッションにも取り組んでいます。

(いけだ)

技術的な部分での強みがあるのはロケット班としてのこれまでの成果の裏付けにもなっているからなので、すごいと思いました。

今メインで手がけているロケットのサイズはどれくらいなんですか?

(山岡さん)

ハイブリットロケットの中にも大小様々あるのですが、ロケット班で作っているのは、全長1.5m〜2mで、重量は5kg〜8kgくらいです。

ミッションによって大きさや重さは変わってくるのですが、これくらいのサイズだと意外にコンパクトに感じると思います。

ハイブリットロケットの打ち上げについては、複数の団体や、研究室が集まって”共同打ち上げ実験”という形で打ち上げています。

伊豆大島や、千葉県の御宿での共同打ち上げ実験によく参加しています。

(いけだ)

わざわざ千葉まで行かなきゃいけないんですね。

打ち上げるのも簡単ではないとは思っていましたが、行くだけでも大変ですよね。

(山田さん)

宇宙教育班としては、科学館などの博物館や高校などで、宇宙関連のワークショップの開催を行なっています。

(提供:NAFT) 

子供向け(小学生~中学生向け)のイベントが多いですが、お子さんと一緒に保護者の方々も挑戦できるようなコンテンツもあります!

最近はコロナ禍の状況だったので、年に5回ほどしか行えていませんが、以前は最低でも毎月何かしらのイベントを行なっていました。

企業さんと共催のイベントもあったため、規模も10名くらいから30名参加するような様々な規模で開催して宇宙の面白さをより多くの人々に伝える事に力を入れて活動しています。

主に対象は小学生~中学生で、宇宙クイズ、ホワイトパズル訓練、情報伝達訓練、鏡ゲーム、月面サバイバルの5ミッションを中心として、色々な宇宙に関するゲーム、イベントを行っています。

それ以外にも、最近のワークショップでは、ビニール製の傘袋を使った『傘袋ロケット』の工作演習や、小惑星探査衛星「はやぶさ2」のサンプル採取の仕組みを簡単なものを作って体験してもらった後に、実際のはやぶさ2の説明をして、より理解を深めてもらう講義を行ったりしています。

時事ネタも交えて宇宙の面白さを伝えていく活動が特徴だと思っています。

(いけだ)

宇宙教育への関心もどんどん高まってきていますし、宇宙を身近に感じてもらうためには、まずは知ってもらうこと、興味を持ってもらうことだと思っているので、またイベントがどんどんできるようになってくるのを楽しみにしています!

(飯田さん)

今回のインタビューに参加している3班は、NAFTの中でも大きなプロジェクトで、対外的な活動も行っていますが、他にも大会に向けて空き缶サイズの小型の模擬人工衛星ロボットを製作している”CanSat”班や、宇宙エレベーター競技会に向けて昇降機を作っている宇宙エレベーター”班があります。

ソフトウェア系の開発を行なっている班もあるので、NAFTの全体としては、宇宙関連を幅広く押さえていると思っています。

CanSatと宇宙エレベーターは大きな大会もあるので、それを目指して取り組んでいます!

(いけだ)

NAFTのメンバーは何名くらい在籍しているんですか?

(飯田さん)

全体で約50名が在籍しています。

修士に行ってからも参加してくれている人もいますが、メインは学部生ですね。

新たに加わる人にはそれぞれの班の説明をして興味のある班に参加してもらっています。

(いけだ)

メンバーの中には文系の人もいるんですか?

(飯田さん)

在籍していますね!つい最近入ってくれた人もいますよ!

スペースバルーン班の法律チームや、宇宙教育班で活躍してくれています。

(いけだ)

文系の人もNAFTに入って宇宙関連に携わっているのは、文系出身の社会人には希望に見えると思います!

宇宙を身近に感じて知ってもらうには、理系・文系の枠を超えて”宇宙の面白さ”を感じてもらう必要がありますもんね!

(山田さん)

宇宙教育班は他の班に比べて文系の人が多く在籍してくれていています!僕も工学部に在籍しているので、授業で宇宙系のことは一切学ばないのですが、自分で宇宙のことを勉強し、『天文宇宙検定』などの試験会場に行ったら同じ宇宙教育班の人がいたりしたこともあったので、文系の人でも宇宙に興味がある人は大歓迎です!

(いけだ)

最後にみなさんがNAFTに入ろうと思ったきっかけを教えてください!

(飯田さん)

高校の時からモノづくりが好きで、名古屋大学の機械航空宇宙学科に入ったのですが、せっかく航空宇宙を学ぶならそれに類するモノづくりを学びたいと思ってサークルを探していたらNAFTを見つけました。

説明会に参加して面白そう!と思ったので入りました。

(いけだ)

モノづくりの観点だったんですね!

(山岡さん)

僕は物心つく頃から宇宙に興味があって、宇宙の図鑑とかたくさん読んで育ってきたくらい宇宙が好きだったので、何も考えず「宇宙に携われるなら」って選んだサークルがNAFTでした!笑

(いけだ)

そんなに宇宙が好きだったら飛び付いちゃいますよね!笑

(川瀬さん)

僕だけが名古屋工業大学なのですが、宇宙に物凄く興味があって名古屋大学で航空宇宙を学びたかったのですが、大学受験で落ちてしまって名古屋工業大学に入りました。

ただ、名古屋工業大学には航空宇宙を学べる学科がなかったので、「しょうがないかな〜」と1年生の秋頃まで過ごしていたのですが、ふと振り返った時に「自分の宇宙系への熱が冷めちゃったのかも」と危機感が湧き、「大学は無理だったけど宇宙に携われる団体があるんじゃないか?」って思って探していたら、名古屋大学のNAFTを見つけたので、「名古屋工業大学からでも参加できますか?」と問い合わせて入りました。

(いけだ)

凄いですね!違う大学からアプローチして入るって凄いことだと思いました!

めっちゃいい話ですね!

(山田さん)

宇宙が好きだったというのも理由の一つですが、その中でも特にプラネタリウムに興味があり、それを用いた教育系で”宇宙の面白さを伝えていく”のを実践している科学館などの施設にも非常に興味があった、というのが大きな理由です。

そこで、宇宙の側面と教育の側面でどんなことができるのか考えていたところ、NAFTの宇宙教育班で科学館との繋がりも持てるということだったので、「まさにやりたいことができる!」と思い入りました。

(いけだ)

私は子供時代をかなりの田舎で育ったので、科学館って行ったことがなかったんですが、子供の頃に触れることで興味の幅は広がるんだろうなと大人になってから感じました。

やりたいことができる!って思って参加しているのはいいですね!

みなさんとお話していて、NAFTに楽しんで参加されているのが伝わってきました!

大変なことも沢山あるとは思いますが、メンバーの方も含めて楽しんでいるなら今後とも定期的に取材させてくださいね!

あとがき

今回は名古屋大学宇宙開発チームNAFTの代表とプロジェクトマネージャー3名の方にインタビューをさせていただきました。

学生団体として、プロジェクト全体を運営しているので、もちろん大変な部分もあるとは思うのですが、それぞれが”想い”を持ってNAFTに参加していて、成果を自信に繋げていっているのが伝わってきたので、微力ながら応援していければと感じさせてもらいました。

以前から名古屋大学には縁があるので、今後のNAFTの活動も宇宙ビジネスMEDIAでも追いかけていきますので、『応援したい!』という企業の皆さんはNAFTまで問い合わせをお願いします!!

NAFT公式HP:https://naft.space/

NAFT公式Twitter:名古屋大学宇宙開発チームNAFT:@naft_linkspace

これからの宇宙時代を築いていく人材の育成につながるNAFTのような学生団体もどんどん規模が大きくなるはずですし、需要は高くなっていくと思います。

スペースバルーン班の川瀬さんのように、名古屋大学以外からでも『やりたい!』という想いで参加している人もいるので、気になったらまずは行動あるのみです!!