みなさんこんにちは🚀
宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。

宇宙産業がどんどん盛り上げってきていますが、みなさんは世界の宇宙企業について詳しいですか?
いけだは正直に言うと日本の宇宙産業をターゲットにしているという言い訳で世界の宇宙企業については詳しくないんです。。。

ということで、今回はフィンランドにある小型人工衛星企業であるICEYE(アイスアイ)社が日本での事業展開を開始したということで、今まで知らなかったからこそ日本のデータ事業の営業担当の冨士原さんに詳しく教えてもらいました!

『もちろん前から知ってたよ!』という人も『いけだと同じで知らなかった〜』という人もこの記事を読んでもらえればICEYEのビジネス、日本での活動など詳しく知ることができますよ♪

なお、本記事は取材時(2024年3月末)の情報に基づいています。

ICEYE(アイスアイ)について

ICEYEはフィンランドのアールト大学とスタンフォード大学で共同研究していた超小型衛星Aalto-1のチームが起源です。

共同研究チームの中で、現CEOのラファル・モドルゼフスキ氏と現CSO(チーフ ストラテジー オフィサー)のペッカ・ラウリア氏が出会い設立されました。
元々の北極圏の氷の動きを観測する目的に因んで、ICEYEと命名されました。

2018年に初めて打ち上げた人工衛星のICEYE-X1は世界初の小型のSAR(合成開口レーダー)衛星で、フィンランドとしては初の商業衛生の打ち上げでした。
これまでの資金調達の実績としては約3億4百万ドル以上でシリーズDでは東京海上日動などの日本の企業も含まれています。

シリーズDで調達した資金で、自然災害に対してのソリューションビジネスの拡充や、SAR衛星のコンステレーションの拡大や性能アップに充てていて、今後はよりグローバルにビジネスを拡大させていくために、AIやマシンラーニングなどの分析系に力を入れていく予定です。

2018年の最初のSAR衛星の打ち上げ時は約30名のメンバーでしたが、2024年3月末現在で世界55カ国550人以上のメンバーに拡大成長しています。

ICEYEの特徴はSARの技術と小型の人工衛星の組み合わせにあり、世界最大級のコンステレーションの運用を行っていますので、地球上の出来事を昼夜、天候、自然災害に影響されずに正確に、かつタイムリーに観測することができます。

ICEYEは”お客様の意思決定に直結するデータを提供したい”という理念のもと、保健業界や、自然災害、金融、洋上、安全保障などに関わるお客様に価値のあるサービスの提供をしています。今年の3月にも3機の打ち上げ成功しており、これまでに34機の打ち上げ実績があります。
2024年には計15機以上の打ち上げを予定しています。

ICEYEの強みは統合されたバリューチェーンにあると考えています。
人工衛星の製造からデータの取得、ニア-リアルタイムでの分析まで一貫して行っており、お客様のあらゆるニーズに対応できることが強みです。

具体的なビジネスとしては、大きく分けて3つあります。

・衛星ミッション
製造したSAR衛星そのものをお客様に提供

・衛星データ
SAR衛星コンステレーションから取得したデータをお客様に提供

・ソリューション
SAR衛星で取得したデータと他の地上データを組み合わせて災害予測などに役立つデータセットを提供

ICEYEが提供するデータは、世界最大級のSAR衛星のコンステレーションによって、同じ観測対象を高頻度で撮影することが可能です。人が入り込みにくい環境や、広大なエリアの撮影に向いています。

撮像モードは目的に合わせて4つあります。

・Scan
一番大きな撮像モードで、最大84,000㎢の範囲を撮像することが可能で広い海上のモニタリングや原油の海上流出の検知などに用いられるケースがあります。

・Strip
次に大きな撮像モードで50km×30kmでの撮像が可能で、かつ3メートルの地上分解能という高解像度でターゲットの検出などに活用されます。

・Spot
15km×15kmと小さな範囲内での撮像モードですが、50cmとかなり高い分解能での撮像が可能なので、細かな変化を検知するときに用いられます。

・Dwell
他の撮像モードでは約10秒ほどの照射に対して、25秒の照射を行うことによって短い動画を作る事が可能で、様々な角度から撮像することで森の中などの人工建造物を検知することも可能です。

ICEYEのデータは主に、安全保障やセキュリティ関連で活用されます。国境や戦略的サイト、世界中の港湾や海上活動の検知など、広域にわたり安全保障に役立つデータの収集を行っています。

これは名古屋周辺を一番広い撮像モードのScanで取得したデータのサンプルです。詳細を把握することは難しいですが、都市部の集中具合や山間部の地形データはよく分かると思います。

これはDwellモードで撮像した広島の画像です。範囲は狭いですが、高解像度のものなので、港や建造物、橋など詳細に確認できるように撮像します。

従来の人工衛星は大型の物が主流で、開発コストも高く、打ち上げる準備なども煩雑でしたが、ICEYEの人工衛星は非常に小型で、低価格、柔軟性を高く設計しています。
打ち上げに関しても、SpaceX社の打ち上げスロットをICEYEとして確保しており、政府や組織が独自の衛星群を所有できる仕組みを構築しています。

ICEYEでは衛星の製造、打ち上げ、運用に加えて、独自衛星からの取得データでは足りない場合にはICEYEのコンステレーションで取得したデータへのアクセスも提供しています。現状では、契約締結から衛星の打ち上げまで約18ヶ月で提供することが可能です。

 

打ち上げまで約18ヶ月で提供できるスピーディーさと、小型で機敏な動きができるのでほぼリアルタイムでのデータ取得が可能な点が強みですね。

2018年以降、これまでに30機以上の打ち上げの実績があり、2024年中には15機以上の打ち上げを予定しています。ICEYEのノウハウをトレーニングを通じてお客様に提供しています。
ミッションの実績としては、ブラジル空軍の環境及び国家安全保障の目標支援のため衛星を提供、また、UAEに対しても国家衛星リモートセンシングと地球観測能力を構築するために衛星を提供し、現在運用中です。

自然災害に対しての影響を分析して、保健業界や政府機関に提供しています。
現状では、主に洪水と山火事に対するソリューションを提供しています。

ほぼリアルタイムな状況把握と、分析の結果をスピーディーに提供できることがメリットだと考えています。

2022年に米国フロリダ州で発生したハリケーン イアンの際には、最初の洪水発生から24時間後には3m×3mのピクセル(範囲)の単位でどれくらいの浸水被害があったのかをデータとして提供しました。
後日、地質調査データが完成した後の検証では高い精度でのデータが作成できていたことが分かりました。

データとしては洪水の深さと広さを複合データによりマッピングして提供し、個々の建物レベルでの被害の状況を分析。ほぼリアルタイムでのデータ提供を行なっています。
日本では東京海上ホールディングス株式会社と提携しており、洪水による家屋の被害状況調査を行なっています。山火事の場合も同様に被害状況の調査分析データの提供を行なっています。

ハワイでの山火事では、3時間以内に画像を取得し、火災発生から14時間後には分析レポートを提供しました。2,000棟以上の被害評価を行い、精度は86%という高精度の結果となっています。

ICEYEのSARデータは世界中の多くのお客様に活用していただいており、ウクライナでは紛争地域の被害状況の把握のために使われています。

ブレイクタイム&質問タイム

冨士原さんにICEYEについてかなり詳しく説明してもらいました!
日本でのプレスリリースの説明の前に少し質問タイムを設けていただき冨士原さんと対談質問タイムです!

いけだ
ミッションの部分について、SAR衛星の製造から打ち上げ、運用までまるっと行なっていただけるとなると、素人が『人工衛星持ちたい!宇宙やりたい!』ってテンションでいけちゃったりするんですか?

冨士原さん
そこは少し難しい部分もありますね。
多くの方は衛星データと言えば光学の写真のようなデータを想像すると思うのですが、ICEYEのSAR衛星が撮像するデータはレーダーをあてて取得するものなので、見方が特殊で、専門性の高いものとなっています。
だからこそ、『SAR衛星で取得したレーダー画像データで◯◯をしたい!』のように明確なイメージ・アイデアがある方がマッチするかと思います。

いけだ
そりゃそうですよね!
レーダーで取れるデータを使って何がしたいか、むしろ光学データでできないからこそ、SAR衛星の出番ってことですもんね!
でも、そこがしっかりとしていればSARコンステレーションの構築から運用まで一緒にやってくれるなら独自人工衛星を持つハードルは一気に下がりそうですね。

冨士原さん
そうですね!
人工衛星を持ちたいというだけではなく、『なぜSAR衛星を保有するのか』が明確ならICEYEのノウハウと実績でサポートは任せてください!

プレスリリースについて

1つ目が、コンステレーションの拡大に向けて、3月にSpaceXのライドシェアで3機のSAR衛星の打ち上げに成功しました。
そのうち2機はアメリカのICEYE U.S.で製造し、もう1機はフィンランドで製造された軌道上技術実証用のデモンストレーターです。

このデモンストレーターが、ICEYE独自のXバンドアンテナをアップグレードした1200MHzのもので、従来方は600MHzなので2倍に拡大しました。
これまでの解像度が50cmだったのに対して、最大25cmに上げることが可能となりました。
取得したデータはエンジニアリング・テストの後お客様に提供される予定です。

もう1つが、海上保安強化のためにSAR製品ファミリーの第一弾として『ICEYE Ocean Vision Detect』をリリースしました。
海上の船舶を検知し、位置、サイズなどの追加情報を提供することで、各政府組織の海上の脅威の把握及び意思決定などを支援する製品で、1枚の画像で80,000㎢を超える範囲を収集可能なので、コンステレーションにより高頻度、かつ、高度なアルゴリズムを組み合わせることにより広い範囲の中で指定された情報を素早く提供できる製品です。

海上データの取得は光学データでは雲に邪魔をされたり、夜間では撮影できなかったりと難しかったのですが、SAR衛星であればそれらを問題とせず撮像することが可能なため、この製品の開発が進んでいきました。

船舶の存在、位置、サイズを昼夜天候に左右されず検知し、ほぼ毎日モニタリングできます。提供するSARのデータを元にお客様側でさらにAIS(Automatic Identification Syste:船舶自動識別装置)など他のデータを掛け合わせていただくことも可能です。
Geojsonフォーマットで提供するため、GISで取り込むことでオープンで使いやすい環境となっています。ソフトウェアがないお客様にはPDFでのレポート提供も行なっています。

あとがき

今回は私もICEYEについて知らないことだらけだったので、冨士原さんに細かく説明をしていただきました!
なので結構なボリュームになってしまいまいたが、ICEYEを知りたい人には絶対読んでほしい記事ですね!!

今後、日本での活動に力を入れていく上で、特に『ミッション』を重点的に拡大していきたいとのことでした。
独自SAR衛星を持つことで、広がる可能性がある分野ではICEYEは光るはずですね!

いけだの印象としては、やはり国防に関わる部分や、広域での観測、モニタリングが必要な分野がメインになるかと思います。

東京海上日動のように保険の分野なども人工衛星のデータ活用が進んでいるので、どんどん身近になってきているので、「自分の仕事で活用できないかな?」と考えるだけでももしかしたらアイデアにつながる可能性があると思います。

ICEYEは積極的にリリースも発信しているので今後も宇宙ビジネスMEDIAとして追いかけていこうと思っています♪

ICEYE公式ホームページ:https://www.iceye.com/