みなさんこんばんは⭐️

宇宙ビジネスMEDIA編集長の池田 真大(いけだ まさとも)です。

今回は宇宙ビジネスとのインフラとしても重要な【宇宙港】について、大分県先端技術挑戦課の守光氏に根掘り葉掘り取材しました!

先日開催された第33回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)大分別府大会の開幕イベントとして『おおいたそらはく』を実施していたり、大分県としての『宇宙』への取り組みなども聞かせてもらっているので、今回も大ボリュームになることは間違い無いですが、内容も盛り沢山ですよ!

 インタビュースタート

(いけだ)

宇宙港としてアメリカの人工衛星打ち上げ企業の『ヴァージン・オービット』とのパートナーシップは有名なところですが、まずは先日開催された『おおいたそらはく』について聞かせてください。

参加したかったのに、現地に行けなかったイベントなので個人的に気になってます!

(守光さん)

かなり盛況で県内外問わず、多くの方に参加してもらえたのでいいイベントになったと思っています。

コロナ禍なので、参加していただく方には事前登録をしてもらっていたので、ある程度の人数の把握は出来ていましたが、当日参加の方々も多くいらっしゃったので、私たちが想定していたよりも沢山の方に来ていただけました!

(いけだ)

そうですよね!いけだも参加したかったですもん!!

ホームページでもイベントプログラム見ましたが、宇宙キャスターの榎本麗美さんが総合司会で、大西卓哉宇宙飛行士の講演、東京大学の中須賀真一教授の講演、Space Port Japan代表理事の山崎直子さん、ヴァージン・オービット社シニアディレクターモニカ・ジャン氏の講演、北海道スペースポートのSPACE COTAN社と大分県、三菱地所社とのパネルディスカッションなどなど盛り沢山ですし、展示などでもJAXAの船外活動服やドローン体験、アミュラポ社のバーチャル宇宙飛行士選抜試験体験会もあって、子供から大人まで楽しめるイベントだと感じていました!

だからこそ、行けなかったのが残念でした。。

(守光さん)

今のご時世ではなかなか難しい部分ではありますよね。。

せっかくなので、大分県としての宇宙への挑戦をお伝えできればと思っています!

まずは宇宙港(スペースポート)としての大分空港について改めて紹介します。

大分県は、20204月に、人工衛星打ち上げ企業のヴァージン・オービット社と、大分空港をロケットの水平型打ち上げの拠点として活用するための、アジアで初となるパートナーシップを結びました。

ヴァージン・オービット社の水平型打ち上げでは、人工衛星を搭載したロケット「ランチャーワン」が、大型飛行機であるボーイング747の改造機「コズミック・ガール」によって高度約10,000mまで運ばれたのちに、打ち上げられます。空中で打ち上げられたランチャー・ワンは、その後、それぞれの目的の軌道に向けて人工衛星を運びます。

多くの方がイメージされる垂直型の打ち上げとは異なり、専用の大がかりな打ち上げ施設(射場)が必要なく、今ある空港の滑走路を活用できることが大きな特徴です。

また、この水平型打ち上げでは、最終的には雲の遥か上からロケットを発射するので、天気による影響を受けにくいというメリットもあります。

(提供:スペースポートジャパン)

ヴァージン・オービット社はアメリカを拠点として事業を進めていますが、活動の幅を世界中に広げようとしています。

その一環として、イギリスのコーンウォールで今年の夏に国外で初めての打ち上げを予定しています。

大分県では、コーンウォールで同様の宇宙港の取組を進めている「スペースポート・コーンウォール」と、ヴァージン・オービット繋がりでお互いに協力し合えることを話し合っています。

(いけだ)

日本でも最近、スペースポートの話題が増えてきましたが、世界的に見ると沢山あるんですね!

イギリスのコーンウォールと大分県の取り組みもこれから活性化するなら宇宙港以外での発展も期待できそうですよね!

(守光さん)

そうですね!

大分県は宇宙港としての経済波及効果を5年間で約102億円と試算しています。

これは、最初の打ち上げから5年間の予測値です。最初の頃は打ち上げ回数も少ないと思うのですが、回数は増えていくと考えられますので、それに伴って経済波及効果も高まっていくと見込んでいます。

国内で取り組まれようとしている宇宙港全ての経済波及効果を合わせると、年間約350億円以上の試算となります。宇宙港が経済に与える影響の大きさを物語っていると思います。

(いけだ)

宇宙港がある自治体を中心にして、色んな産業分野で経済効果があるはずですよね!

分かりやすいところだと、打ち上げの見学で観光業が賑わうことは間違いないですからね!

(守光さん)

ヴァージン・オービット社のロケットは水平打ち上げなので、今ある空港の滑走路を活用できるのは、観光面でも大きな強みですね。

昨年、1020日にはANAHD(ANAホールディングス)とヴァージン・オービット社によって、2020年以降から10年間で20回の打ち上げを目指すパートナーシップが締結されました。

日本での打ち上げということで、大分空港の活用を期待しています。

(いけだ)

明言されていないだけで、現状で大分空港の活用で進めているので、確実に大分空港からだと思っていますよ!

(守光さん)

さらに、大分県は、2022226日に、大分空港の宇宙港としての活用を目指す2社目の企業とパートナーシップを締結しました。

(Credit: Sierra Space)

これは、大分空港を宇宙往還機Dream Chaserのアジアの着陸拠点として活用するための検討を進めようというものです。

Dream Chaserや商用宇宙ステーションの開発などを行なっているシエラ・スペース社と、国内企業に向けたDream Chaserや商用宇宙ステーション利用の事業開発の業務提携をしている兼松株式会社とともに、安全性、環境面の予備検証を進めていきます。

(いけだ)

このリリースも凄くワクワクする内容ですよね!宇宙往還機が帰ってくるの見たい人が押しかけますよね!

ヴァージン・オービット社に続き、シエラ・スペース社とのパートナーシップを結び、海外の宇宙企業から大分空港が選ばれる理由ってどんなところなんですか?

(守光さん)

大分空港の強みの一つとして、3,000m級の滑走路が挙げられます。

ヴァージン・オービット社が打ち上げに使うコズミック・ガールは、ボーイング747というジャンボジェット機の改造機なので、離着陸に必要な滑走路は打ち上げに必要なインフラ設備です。

加えて、県内には石油コンビナート産業や、水素エネルギー産業、自動車産業、空港の近くには半導体産業などが集積しているので、大きなサプライチェーンを必要とする宇宙産業の拠点としてみたとき、また、何かあったときに県内で対応できるという点も評価されています。

そして、一番大きかった要素は、観光資源だとみられています。

打ち上げの際は、エンジニアさんなどの打ち上げに関わっている多くの方々が、長期的に滞在することになるので、そういった方々をおもてなしできる観光資源が県内に豊富にあることが、ヴァージン・オービット社とシエラ・スペース社に共通して評価をしていただいたポイントなので、海外の宇宙産業の方々にはこういう部分がキーになるのかと感じました。

(いけだ)

そうだったんですね!

滑走路や、産業集積の部分が強かったのかと思ったんですが、まさかの観光資源が評価ポイントだったとは!笑

私も大分県のイメージとしては『温泉』が印象的だったので、長期滞在する場合にはあって欲しい項目だとは思いますね!

(守光さん)

大分県では、スペースポートを核としたエコシステム(経済循環)の構築を目指しています。

具体的には、大分県内で打ち上げなど直接に宇宙産業と関われるサプライチェーンの構築や打ち上げサービスを利用する人工衛星企業の誘致なども目指しています。

次に、良いところはもっと伸ばそうということで、新たな観光プログラムの創出を行なっていきます。

最後に、宇宙に関連した新しいビジネスの構築を行うために、衛星データを活用した新サービスの展開や、これまで宇宙に結びついていなかったような県内産業を結びつけていきます。

今まで大分県に無かった産業を組み入れる形としてエコシステムの構築に取り組んでいこうとしています。

(いけだ)

宇宙が盛り上がってきているとは言え、まだまだ遠い存在だと感じる人は多くいると思うので、大分県全体として『宇宙といえば大分県』ってイメージになると強いですよね!

(守光さん)

先ほども少し触れましたが、大分県では、スペースポートによる経済波及効果としては、打ち上げ開始から5年間で約102億円になるだろうと試算しています。

(提供:大分県庁ホームページ)

 経済効果の内訳としては、観光消費効果が最も高い試算となっています。

これは、シエラ・スペース社、兼松株式会社とのパートナーシップを締結する前の試算で、ヴァージン・オービットオービット社の打ち上げ事業によるものなのです。

打ち上げにはボーイング747を改造した機体が使われるですが、ボーイング747は現時点で旅客機として日本の空を飛んでいません。大分県からの打ち上げが実現すれば、そういった珍しい機体がロケットを装着して大分空港から離陸するので、航空ファンの方も、ロケットファンの方もどちらも見学に来てくれるのではないかと思っています。

 (いけだ)

ボーイング747ってもう日本では飛んでないんですね!

じゃあ、見るためには大分空港での打ち上げに来るしかないならファンの方もいらっしゃいますね!

レアな飛行機とロケットの打ち上げなんて一度で二度美味しいじゃないですか!!

(守光さん)

そうなんですよ!

スペースポート以外でも宇宙産業が注目を集めてきているので、大分県内での宇宙への挑戦をいくつか紹介させて頂きますね。

(提供:国見水産有限会社)

 国見水産さんではサワラを効率的に獲るために、衛星データを活用して漁場の温度などを把握し、蓄積してデータによる分析をしていこうという取り組みをされています。実際にJAXAの方に師事されていたり、さくらインターネットのTellusを使ってご自身で一から衛星データの活用にチャレンジされたりしていました。

もともとは宇宙産業とは全く関係のない方なのですが、大分空港が宇宙港になるというニュースを見て、宇宙について考えてみて、人工衛星のデータに行き着いて、実際に活用されているんです。

(いけだ)

めちゃくちゃ凄いお話ですね!

衛星データ活用している事業社が漁業向けに提供しているなら分かるんですが、利用する側の漁業をしている方がご自身でやっているのは初めて聞きましたよ!

本当に凄いです!!

(守光さん)

衛星データについては、広く県民へ活用を促進していて、昨年度は、これまで衛星データに触れてこなかった企業の方や学生の方に向けて、月に1回程度の通年講座開催しました。

『おおいたそらはく』でも成果を発表する場があったのですが、葬儀社の方が、人工衛星の画像からお墓の状態を解析して、地方にあるお墓のメンテナンスなど診断するというユニークなアイデアを発表されていました。

(いけだ)

葬儀社の方ならではのアイデアですね!思いつきもしませんでしたよ!

(守光さん)

また、大分県の別府湾で浮遊ゴミの回収をしている『公益社団法人別府湾をきれいにする会』では、これまではゴミの回収をするために、勘や経験に頼っていた部分があり、いざ回収に行ってもゴミがないこともあったので、もっと効率的にゴミの回収を行いたいという悩みを抱えられていました。

そこで、AIによる画像解析やIoTなどの先端技術の推進も図っている当課にご相談いただき、人工衛星の撮像データを活用した海洋ゴミの効率的な回収に向けて、県内企業とともに取組みを進めています。

(提供:公益社団法人 別府湾をきれいにする会)

(いけだ)

こういう活動で衛星データが使われていくのは素敵ですね!

海洋ゴミは地球全体の大きな問題ですし、海流データなどからも集まる場所の特定もできるかもしれませんし、福徳岡ノ場の海底火山の噴火で発生した大量の軽石も衛星から観測できたようなので、別府湾のゴミ回収でもきっと役に立つはずですね!

(守光さん)

(提供:株式会社Ashirase)

 

こちらは、株式会社Ashiraseが開発した視覚障害者向けのナビゲーションシステムの『あしらせ』です。

靴に装着したデバイスが曲がり角などを振動でお知らせするというもので、準天頂衛星みちびきからのデータを利用していて、実証実験を大分駅前で行なって頂きました。

(いけだ)

『あしらせ』は宇宙ビジネスMEDIAでも実証実験の記事を掲載させて頂きましたよ!

コロナ禍なので、現地に行くことは断念したのですが、実証実験の様子など写真なども拝見させていただいています!

(守光さん)

(Twitter:@Spaceport_Oita)

ビジネスの支援だけではなく、先日開催した『おおいたそらはく』では、東京大学の中須賀教授や、大西宇宙飛行士の講演、スペースポートジャパン代表理事で宇宙飛行士の山崎直子さんを交えた座談会を開催したり、JAXAによる船外活動服や人工衛星の模型展示もあったりと、子供たちを含めた幅広い層に「宇宙×大分」を発信できたと思います。

2日目にはスペースポートジャパンと共催で国内初となる『スペースポートサミット』を開催し、スペースポートに取り組む地域や企業によるパネルディスカッションを行いました。

(いけだ)

開催前から当日のプログラムなど見ていたので、行きたかったですよー!

守光さんのお話ではやっぱり盛況だったんだなと感じましたが、また開催される時はぜひ参加させてもらいたいです!

(守光さん)

その時はぜひ!

大分県では、ビジネスの展開、エコシステムの拡充、そして『教育』を大きな柱として宇宙と結びつけて進めています。

その取組の一環として、スペースポート コーンウォール(イギリス)があるコーンウォール州のトレヴィグラス・アカデミーという学校と、大分空港がある国東市の大分県立国東高校とで交流が始まりました。

まだ始まったばかりの交流ですが、個人的には、ゆくゆくはお互いの打ち上げの見学に行き来できるような長い目での交流に繋げていきたいと考えています。

また、高校生だけでなく、小学生に向けても、宇宙や科学といった分野での教育に力を入れていて、水ロケットの制作体験や、スペースポート講演などで宇宙への興味を促進しています。

(いけだ)

宇宙もいろんな分野があるので、潜在的に興味を持っている人は多いと思いますし、子供たちなら余計に興味が惹かれると思いますし、今後の宇宙産業に携わる人材という点では、早いうちから”宇宙”という分野を知れるのはメリットになりますね。

(守光さん)

大分県のビジョンとしては、宇宙港を通じ、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点となることで、日本を含むアジアの企業や人々に、地球を越えた新たなビジネスや暮らしの選択肢を提供していきたいと考えています。

(いけだ)

取材で聞きたかった内容を全て聞かせていただけました!

そらはくのお話や、シエラ・スペース社とのパートナーシップのことを質問しようと考えていたのですが、大分県全体として『宇宙』という分野への取り組みがすごく盛り上がっている印象で、ちょっと驚きました。

これから宇宙港を中心に宇宙産業が大分県で活発化されていけば、大分県=宇宙県になっていきそうですし、多くの人に大分県の取り組みを知ってほしいですね!

(守光さん)

そう感じてもらえているのは嬉しいです!

ヴァージン・オービット社の打ち上げについては、ロケットの打ち上げ方式が独特であるため、「大分空港からロケット打ち上げの瞬間が見られるわけではない」という説明から必要になってきます。このように、宇宙港の事業を進めるためにはいろいろな壁を取っ払わなければいけないと感じており、そのためには、県民の方々にできるだけ自分が”宇宙に携わっているんだ”と自覚していただけるような機会を設けて行くことが重要だと感じ、それが取組におけるコンセプトの一つにもなっています。

『大分のスペースポートでの打ち上げを成功させる』というのが本体としての柱であるのですが、実際に主役となってくるのは県民の方々なので、早い段階から「大分県はこれから宇宙に深く関わっていくんだ」、「自分たちが宇宙に携わっていくんだ」と自覚してもらえるように、人工衛星のデータに馴染んでもらったり、大分空港がどうやってスペースポートになっていくか、宇宙がどうなっているかを発信して普及したり、教育分野では宇宙と結びつけたSTEAM教育の推進など、草の根活動的な宇宙への知見を高めていくような観点で進めています。

 (いけだ)

このペースで進んでいけば、大分県の産業として『宇宙』が確立するのに、そう時間がかかならいかもですね!

 (守光さん)

そうですね!

シエラ・スペース社とうい新しいプレイヤーも可能性を検討しようとしているところですが、同社の宇宙往還機Dream Chaserは宇宙ステーションから地上の空港に降りてくるミッションを行います。大分空港で実現すれば、実際に大分と宇宙とつながるイメージがしやすくなると思います。

また、Dream Chaserのミッションが大分空港で実現すれば、宇宙空間での実験結果が大分空港に届くようになったり、ゆくゆくは宇宙にいた人が帰ってきたりする可能性もあるので、そうなれば更に宇宙と大分がつながっているという実感が湧くと思います。

 (いけだ)

宇宙往還機が帰ってくるって絶対に話題になりますよね!

見たい人もめちゃくちゃ多くいるはずですもんね!

(守光さん)

そうですね。

スペースプレーン型の宇宙往還機が宇宙から帰ってくるのは視覚的にも迫力があると思いますし、なかなか見られるものではないと思います。往年のスペースシャトルの帰還の際には、数万人規模の見学者が集まった話も聞きますので、大分県内はもちろん、さまざまな地域の宇宙ファンの方々が来られるのかなと楽しみにしています。

シエラ・スペース社はイギリスのコーンウォールでもDream Chaserを着陸させたいと発表しているので、コーンウォールとはそういった点でも共通点があります。

(Credit:Sierra Space)

(いけだ)

いや〜これはワクワクでしかないですよね!見たい人絶対多いですよ!

それに、その光景を見て育つ世代としてはより身近に感じますよね。

アメリカのケネディ宇宙センターの周辺のように、宇宙を身近に感じているであろう子供たちと同じような環境が大分県にもできるんですもんね。

めっちゃ素敵なことですよね!

(守光さん)

子供たちへの宇宙への教育となると、水ロケット制作実験や科学体験のほかに、社会教育の分野では「月に住むためにはどうすればいいか」などのワークショップを開催しています。

実際に宇宙を感じられる場所で体験できる未来がやってくるというのは非常に大きなポイントになると思っています。

(いけだ)

取材させてもらうまでは大分県は温泉や観光のイメージが強くて、温泉を全面に出した動画などもあるので、推し出し方も温泉なんだと思っていましたが、これからは『温泉×宇宙』というかなりかけ離れている部分が宇宙港を中心とした人工衛星や部品などの産業集積を形成していくことがイメージ湧いてきちゃいますね!

(守光さん)

そうですね!

打ち上げや着陸などの実際の事業の観点で見ても、携わるエンジニアの方々は射場や着陸場に一定の期間滞在されると思うので、その間のリフレッシュとして温泉は大きな武器の一つになると思いますし、海も山もあるので、余暇を過ごす自然観光には事欠かないと思います!

(いけだ)

宇宙産業って本番での失敗が無いように、かなり精密な作業の繰り返しですからね。

過酷な業務の癒しに温泉は最高に刺さるでしょうねー!

海外の射場での話を聞くと、空港から何時間もかけて周りには何も無い環境で作業をするのが精神的にも過酷だって言ってましたね。

(守光さん)

そうですね。

私たちも衛星事業者さんからお話を聞く機会もありますが、やっぱり打ち上げは一苦労だと言っていましたね。

垂直打ち上げの射場だと、安全確保のために周辺に施設を作れなかったりもするので、仕方ない部分なのかもしれないですが。

そんな中、クリーンでサスティナブルな打ち上げを行っているヴァージン・オービット社を迎えられる大分空港は世界的に注目が集まってくると思っています。

(いけだ)

そこは水平打ち上げの大きなメリットの1つですよね!

垂直式のロケットを打ち上げる射場としてではなく、もうすでにある空港が宇宙港として進化していくことで、エンジニアの方々の作業効率や、衛星事業者の方々の利便性が向上しますもんね!

大分空港だけではなく、大分県全体としての宇宙への取り組みを聞かせて頂きましたが、守光さんが力を入れているポイントや、盛り上がっているなと感じている分野はどんなところですか?

(守光さん)

私が携わっている事もあり、一番身近に感じているのが『宇宙教育』の分野です。大分県では昨年度から『高校生のSTAM教育推進事業』を進めていますが、その中で、宇宙をテーマとした科学実験や、宇宙での食・宇宙から見た地上の環境を考えるワークショップなどの学習を進めています。

また、学年を問わず、社会教育の分野でも宇宙をもっと身近に感じてもらえるようなワークショップも開催しています。

このように、宇宙を通して大分県が力を入れていることの一つに『人材育成』の観点があると感じています。

また、『宇宙ビジネス人材』の育成にも力を入れていきたいので、今まで大分県内に無かった事業や、大分県内の事業者と国内の宇宙事業者とをマッチングさせることなどができないかと思っています。

(いけだ)

宇宙ビジネスの人材育成って絶対に必要になってきますよね!

今地球上にあるビジネスは宇宙に広がっていくって言われているので、既存産業の宇宙版が近い将来で必要になりますからね!

宇宙産業に力を入れている大分県なら宇宙ビジネスに携わるチャンスも増えていきそうに感じました!

文系出身でこれまで宇宙に携わっていなかったけど、宇宙が好きでチャレンジしたい!って人は大分県に移住しちゃうのもアリかもですね!笑

(守光さん)

全国的に宇宙産業が活発になっていきそうなので大歓迎ですよ!笑

それに、私自身もこれまで宇宙について勉強してきたわけではなく、我々のチームとしてもほぼ100%文系で進めていますよ!

ただ、ヴァージン・オービット社との取り組みを進める中で感じたのは、「文系の人にも宇宙産業は裾野が広がっているんだ」ということです。

例えば、宇宙に関する法律についても、外国に会って日本にはまだ無いものもありますが、宇宙産業が盛り上がってくればいずれは必要になってくるでしょうし、宇宙で経済活動を行うことについて考える人材などもどんどん必要になってくるんだと思います。

だからこそ、直接的に宇宙に関わっていなかったような人材の育成にも力を入れていきたいと思っています。

(いけだ)

それを、大分県として取り組んでいるのは凄いことですし、大分県民が羨ましく感じますね!!

いけだも全く宇宙に関わっていないところからスタートしているので、学ぶためのセミナーやコミュニティを探す事から始めましたが、大分県の取り組みって『一緒に宇宙に携わりましょう!』って感じが強くて、サポートしてくれている感が羨ましく感じました!

(守光さん)

そう感じてくれたなら嬉しいです!

実際に大分県に来て宇宙産業の取り組みについても見てもらいたいので、機会があればお越しください!

 (いけだ)

もちろんです!大分空港も宇宙教育もめっちゃ気になるので絶対にいきますね!!

今日はありがとうございました。

あとがき

スペースポートとして生まれ変わろうとしている大分空港についての対談取材でしたが、思いがけずに大分県としての宇宙産業への取り組みまで聞かせてもらえて、大分県に対してのこれまでのイメージが変わりました。

もちろん、日本全国に宇宙産業に携わっている事業者の方々はいますし、それぞれの自治体でも取り組み方があるんだとは思います。

いけだの勝手なイメージとして、大分県=温泉県と思っていたので、ここまで県全体として『宇宙』を推進しているとは思っていなくて驚きました!

これからどんどん宇宙都市として発展していきそうな雰囲気しか感じられなかったので、宇宙ビジネスMEDIAとしては定期的に取材させてもらおうと思っています。

大分県在住の方、大分県出身の方、単純に大分県が好きな方、いけだみたいに温泉県だと思っていた方みなさんに読んでもらいたい記事です!

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大分県ホームページ:https://www.pref.oita.jp

大分空港ホームページ:https://www.oita-airport.jp

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